第十話「優しさに包まれて」
「和希!こっちにおいで〜」
「ほらほら〜」
よちよちとゆっくり歩く和希の姿を、治樹たちは嬉しそうに見ていた。
今日で和希は、ちょうど三ヶ月になった。
「今日まで来れるとは思ってもなかったよ」
「そうね」
午後の時、裕志と美香がやって来た。
「兄さん!」
「おおー!祐志と美香ちゃんじゃないか!」
「お久しぶりです、治樹さん」
「付き合ってるって聞いた時、びっくりしたよ!」
「そうね。私もそう思ったわ」
「和希!元気かー?」
嬉しそうに和希と遊ぶ祐志を見た美香は、治樹たちにある事を聞いた。
「あの…祐志って子供好きなんですか?」
「うん、小さい子供と遊ぶのが好きなんだよ」
「へえー、それはいいわね。将来素敵なお父さんになれるわ」
「そうですね」
「今日はお邪魔しました。また来ますね!」
「ああ…、卒業式行くからな!」
「ありがとう!」
茜色に染まるの景色を見ながら、治樹たちは裕志たちを見送った。
「ねえ、治樹」
「ん?なんだ?」
「あの日記、まだ残してる?」
「もちろんだ。たくさんの思い出が詰まった日記だからな」
「手紙は?」
「念のために残しておいたよ」
「いつでも死ぬ覚悟で生きていたからな…」
「治樹…」
ここ数年は治樹の思いが分かった気がしてきた。恵は、治樹の世話係として、一緒に過ごしきたから、誰よりも理解している。
「生きるってこと自体、幸せなんだって思う」
「そうね。これからも、その思いを忘れずね」
「うん。恵のおかげで、俺はやっと生きる価値を見つけられたよ。ありがとう」
「お礼なんて言わないで。私も治樹から教わったこと、いっぱいあったから」
出会った時から、治樹たちは時間を大切していた。
そして、今でもそうだ。
「治樹…?」
恵は、急に後ろから抱いてきた治樹の行動に少し戸惑った。
「これからもずっと一緒だよ」
「うん」
優しさに溢れた恋は、二人にとって、かけがえのない思い出となり、これからの生活をより有意義に過ごせる家族になれるかもしれない。
〜終わり〜
優しい恋をしながら ドーナツパンダ @donatupanda
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