第6話 謎

『と、とにかく帰ろう…。』



私はその場を立ち去り、家へと帰った。

電気は…ついてない。父さんはまだ帰って来ていないらしい。


自分の部屋に入って着替えてから、破れた制服を袋に入れてクローゼットの奥に隠した。


ベッドにごろっと横になる。


あれは…何だったんだろう


何だか眠たい…


とても疲れた…。






朝になった。



『眩しぃ…ダルい…。』



昨日の出来事が気になって眠れなかった。


寝ぼけたまま、学校の支度を始める。居間に降りてテレビを付けるとニュースが流れた。



『昨日、夕方未明に○区にある廃工場となっている場所で、数人の男女の遺体が発見されました。殺人の疑いが…』



昨日のことだ…。



女キャスターが単調に被害者の名前を言っていく。その中に、叶の名前もあった。



やっぱり…。



私はテレビを消して学校に行くことにした。


学校に着くとみんなが騒がしい。みんなの声に耳を傾けてみると、



『吉見さんのこと知ってる殺されたらしいよ』



『叶が死んだって本当?!』



『何で?!何があったの?!』



泣いている人、騒いでいる人、様々なこと喋っている人がいた。



…何も考えたくない。



昨日のことは思い出すだけでも胸悪い…。


ポンッ


一瞬、体がビクッと反応した。



『何驚いてんだよ。』


『涼爾…。』



何だ…涼爾か…。



『ってお前、顔色悪いケド大丈夫か?』


『大丈夫…何でもない。』



そう言って立ち上がった瞬間、目の前が真っ白になった。


目が覚めるとベッドで眠っていた。


…どうやら保健室らしい。


涼爾がベッドの横で椅子に座りながら腕をくんで眠っていた。



『…涼爾…。』



名前を呼ぶと彼は起きた。


怒っているみたい。


『お前はぁ!心配させんなよ!』



そう言いながら彼は、私の頬をつねった。



『痛い痛い!!ごめんてば!』



『全く…。軽い貧血らしいから、もう少し寝とけ。』



『うん…ありがとう。』


彼は笑顔で保健室を出ていった。


貧血で疲れていた私はすぐ眠り堕ちた。


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狂気が満ちたとき @kiyuuruzu

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