アルティオ
「桜也くん?そんなところに突っ立てないで早く乗るといい。」
ケルノンに促されるままに装甲車のような、頑丈そうな見た目の車に乗り込むのであった。乗り込むと運転席と思わしき場所にレバーやボタン、メーター等そこらかしこに配置され、見てるだけで目が回りそうな光景があった。そんな事を思ったのも束の間、ぞろぞろとケルノン、運転手のほかに三人乗り込んできて発進するのであった。
窓と呼んでいいのか分からないが小さな穴が幾つかあり外の様子を眺めることはできた。しかし、いくら進めど景色は変わらず、ただただ荒廃した土地が続く。ぼーっと眺めていると
「桜也くん、順番が逆になってしまったのだが、君に一つ選択をしてもらいたい」
そう話しかけてきたケルノンの顔は険しく、殺されてしまうのではないかと感じてしまう。
「このまま俺らについてきて、アルティオに入隊するか、ここで降り
どうやら桜也の感じたことはあながち間違ってはいなかったようだ。答えは決まっている。しかし、ケルノンの放つ気におされうまく言葉が出せない。
「そうビビらないでくれよ。ここでちょっと有名な童話でもを聞いてもらおうかな?」
◆
昔々まだ
そこから何年にも渡る戦いの時代が続いたであったが、長い戦いの末
封印から年月がたった今、
『我らの力弱りし時、我らの使いの者ども現れる。かの者たちにより
今できることはこの神託信じ、生き延びること。希望捨てずに生きていこう。
◆
ケルノンの語り草からは童話というより、この世界の歴史を語っているように感じてしまった。多分元の世界でいう大河ドラマ的ものなんだとは思う。もしほんとに歴史を脚色なし語っていたとなると桜也はこの世界を救う使者かもしれないのだ。
「もしかして、さっきの祠って
「やっぱり知らないんだな。女神ネッスカアンは
やはり、あの話が本当なら桜也は使者に当たる存在になってしまう。ケルノンも自らが童話として話した話の反応や桜也の言動から同じ気持ちを抱いているように感じる。
「改めて問おう。一緒に来るか?それとも降りるか?」
答えはもともと決まっていた。
「入隊します!」
その決意とともに装甲車の中にアラームが鳴り響くのであった。
手の届く限り 朝槻憐 @iruas6
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