第6話 告白されました

保健委員に言われた通り放課後教室で待っていた。

この夕焼けに照らされた教室、放課後はまさにテンプレだ。

「ラノベならまぁ99%告白するシュチュエーションだな」

だがこの俺が告白される確率も99%ない。

いやだってさ俺だよ?

自分で言うのもなんだけどもし俺が女子ならまず付き合わないわ

昼休みになったらぼそぼそ言いながら教室出て行くし、基本女子を見下している。

付き合った事があるどころか女友達すらできた事がない。

根暗だしブスだし猫背だし・・

いや、俺なんで生きてんだよ死ねよ

「てか保健委員遅くないか?いつまで俺を待たせる気だよ」

俺は多忙なのだ。スケジュール帳も開けば黒塗りである。

主に積みラノベの消費とアニメ鑑賞なのだが・・

ふむ。

時計を見ると待ってから30分ほど経っていた。

「来なさそうだし帰るか」

30分は待ったほうだろ、よし帰ろう。

俺が椅子からお尻を浮かせたところで教室のドアが勢い良く開いた

ガラララ!

「すみません!お待たせいたしました!」

声のするほうを見たらそこには保健委員がいた。

『おせぇよ!何十分待たせるんだコラッ!このモブスが!!』

とは言えないわけで

「い、いや全然待ってないし大丈夫だ」

まぁラノベを読む時間が少し減っただけだ。

そう、ラノベを読む時間が少し減っただけ

俺は根に持つタイプである

「で、用はなんだ?悪いけど俺は忙しい」

保健委員は黙ったままで何も言わない。何か言いたそうではあるが・・

はっきりしないやつだな、さっさとしろ!

「あ、あの・・その・・」

はぁ

めんどくせぇぇぇぇ

そんなもじもじしながら言い淀むな!ヒロインか?ヒロイン気取りなのか!?

美少女ヒロインがそれをしたら俺もドギマギするが、実際にそれを見ると・・

「ちらっ・・ちらっちら」

ちらちらこっちを見るな!

・・・


え、もしかしてマジ告白なの?え?

俺は彼女の顔を見ると彼女の頬は少し赤みがかっていた。

え、嘘。まじ?

いやいやいや、俺だよ?

キモオタでブスで何の取り柄もない俺だぞ?

てか俺はお前の事を全く認識していなかった。喋ったのも今日が初めてだぞ?

そんな俺を好きになるやつなんて・・

彼女は変わらず頬が赤い。これは夕焼けのせいではないのだろう

喋らなくてもわかる。緊張しているのが伝わってくる。

俺を好きになるやつなんて来世に期待するしかないと思っていたが・・

まさか現世で俺を好きになってくれるやつが現れたのか?

「あ、あの・・実は・・す、す・・」

ゴクリ・・

「好きです!」

キタ━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━!!

「木葉ちゃんが!」

キタ━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━!!

・・え?


「私も好きなの!木葉ちゃん!『たぬきの擬人化はコーヒーの後で』の木葉ちゃん!」

説明しよう。『たぬきの擬人化はコーヒーの後で』とは元々ライトノベルが原作のファンタジーラブコメである。舞台はファンタジーの世界。喫茶店を営む

たぬき爺さんとそこの看板娘、たぬきの擬人化木葉ちゃんが別の世界から異世界転生された主人公とほのぼの毎日を送るという物語である。

絶賛アニメ放送中であり、原作を知らない人もアニメから好きになり原作を買う人も増えてきているらしい。

ちなみにアニメを作っている会社は京○アニメーション。

俺は原作からのファンであり、絶対アニメ化すると思っていた。いや、マジで

カバンにもキーホルダーをつけてるしな

というか

「いやーまさかこんな近くに同志を見つけるとは〜」


この展開


「じつは私、周りにオタクってこと隠しててそうゆう話をできる友達一人もいないんだ。本当はもっとアニメの話とかしたいんだけど、それで避けられてしまうんじゃないかって嫌われるんじゃないかって思うとなかなか本当の自分を出せないんだよね」


まさか


「でも私はもう自分を偽ったりしない。好きなものは好きって言う!好きなものを本気で話せるようになりたい!だから!」

「私と友達になってください!」


「断る!!!」

ここはラノベの世界ではない。だから告白シュチュエーションも現実ではただの放課後なのである。俺にもいつかヒロインとの告白シュチュエーションがあるのだろうか・・



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ラノベ主人公は努力しない 村民H @villagar_h

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ