エピローグ わたしの思い
セージへ。
わたしが先に死んでしまった時のために、このメッセージを残すね。
セージはわたしのために何でもしてくれたよね。セージはわたしに心を教えてくれたね。そのおかげで、わたしの人生は彩に溢れていたよ。そして、わたしが泣いているときはいつも優しく励ましてくれたし、わたしの代わりに、わたしが憎む人を殺してくれた。セージはわたしの心を本物だと言ってくれたよね。実はこれが一番うれしかったりするな。ありがとう。わたしはセージに何回も救われたんだよ。
でもね、セージは自分を殺しすぎだよ。セージはわたしのために何でもしてくれた。わたしの心を守るためになんでもしてくれた。嬉しかったよ。でも、それと同時に、怖かった。いつかそのうちセージの心が死んじゃうんじゃないかって。わたしは最低な女だよね。そう思いつつ、いつもセージのやさしさに甘えてた。わたしは何もセージに与えることが出来なかった。ごめんね。わたしにはセージに与えられるものが何一つないの。
あー。嫌になっちゃうな。与えられるだけがこんなに辛いなんて。
でも、一つだけセージにあげられるものがあるって気付いたんだ。だから、こうやってメッセージを残したんだけどね。
それはね、わたしの心のすべて。絶対にセージに言うつもりはなかったことも全部含めて。良いことばかりじゃないから、心してね。
わたし、実は結構セージがきらいなんだ。
愛が重すぎて、鬱陶しいと思うことがよくあったの。たまには距離を取ってほしかったな。たまにね。
それと、性癖が気持ち悪いよ。わたしの体の匂いを嗅いで、喜ぶセージの姿は正直言って、気持ち悪かったよ。でもね、抵抗した、セージは傷つくでしょ? だから、我慢したんだよ。でも、たまに気持ちいいって思っちゃう変なわたしもいたんだけどね。
それから、セージはセックスが下手だよね。早漏だし。正直、ほとんど満足しなかったよ。でも、セージの愛はちゃんと伝わってきたから、許してあげる。
後ね、躊躇なく人を殺すのは流石にどうかと思うんだよね。所長を躊躇いなく撃っちゃったのには、少し幻滅しちゃったかも。
最後に、この旅。どうして、こんなこと思いつちゃったのかな。どう考えても、二人とも幸せになれないよ。……わたしは少しだけ、幸せだけど。
どう? わたしって最低な女でしょ? わたしはこんなことも考えてるんだよ。
ごめんね。ごめんね。ごめんね。ごめんね。ごめんね。ごめんね。ごめんね。
全部、嘘だよ……。
最近、わたしおかしくなっちゃったみたい。
セージのことが好きすぎて、好きすぎて、気が狂いそうなの。
このままセージのことを愛し続けたら、わたし、心が狂って死んじゃいそう……。
だから、だから、少しでも、セージを嫌いになろうと思ったの。
でも、嫌いになれるわけない! 好きで、好きで、もうどうしたらいいのかわからないよ!! 頭が痛いの。胸が痛いの。ねえ、セージがわたしのことを嫌ってくれたら、わたしはセージのことを嫌いになれたのかな……。
それも、やっぱり無理だよ。例え、セージがわたしを嫌いになっても、わたしは絶対にセージを嫌いになんかならない。
ねえ、わたし死にたくないよ。セージと離れ離れになりたくない。
このメッセージを読んだら、セージはどう思うんだろうね。
セージのことだから、わたしのこと、食べちゃうのかな? 変態さんなのは事実だからね。でも、いいよ。ううん、いっそのこと、わたしを食べて。
実を言うとね、人の肉ってそれなりにおいしいんだよ。実際、わたしがお母さんを喜んで食べたことに変わりはないしね。セージもお肉が食べたくて仕方がないんじゃない? わたしのせいでひどいものしか食べられてないよね。
だからね、食べて。
そして、生きてほしいな。
そっか、わたし、もう骨と皮しかないね。ごめんね。
こんなこと言っちゃうわたしって相当気持ち悪いよね。軽蔑しちゃうよね。ううん、セージはそんなことしないね。辛いなあ。与えられるものが何もないって。
はあ。わたし、セージのこと大好き。
なんだか苦しくなってきたから、短いけど、ここで終わるね。
ありがとう。大好き。死んじゃいそう。
ラサ
ぼくと彼女の心の記録(ハートメモリ) 大和零 @iwana0879
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