第3話 北乃雫 襲来

どうも、ダメ男の中のダメ男

 選ばれしダメ男戦士DAMEO!です

 あれ?名前変わっちゃったよ、

 俺の名前は叶だろ?

 なんだよDAMEO!って、

 ふざけんなよ!まぁ、ふざけてるのは俺なんだけどね

 とまぁ、いつもの調子で学校に行くか。

 どうでもいい事を考えながら、学校に通学、これが俺の生活の全ての始まりである。

 でも、考えてみ?このくだらない事を考えながら歩いている15分と、いつ別れるかも分からない、ホントに好意があるかも分からない女とイチャイチャしながら歩くよりかは数億倍、脳みそによくないか?

 そんな、毎日15分間の特訓をしててもバカなんですけどね…

 いや!いずれはこの15分が人生を分ける選択の時に役に立つかもしれない!いや!そんなことはない!こんなことで人生変わるんならみんなやってる!いや!だがしかし脳みそを朝から動かしていればすんなり授業に集中して入れるかもしれない!いや!そんな事をしていて頭が良くなっているなら赤点はとらない!そうだ!確かに赤点はとらない!そんなこともわかんねーのか?おい!このやり取り悲しくね?

 いや、誰としゃべってんだ!

 脳内の俺A、俺B、俺Cだ!

 悲しいやつだな!

 こんなにはなりたくねーな!

 いや、お前も俺だから!

 は?ふざけんなよ!

 俺なわけないだろ!

 いや、俺なんだよ!

 え!!

 と、こんな感じに俺のアイデンティティーが崩れた所で今日も曲がり角で女の子とぶつかることもなく、壁から女の子が飛んできて蹴られることもなく学校に着いた。

 

 ガラガラ

 女子A「マジかわいい~」

 女子B「ほんとだよね~マジうちもこんなスタイルで生まれたかった~」

 女子C「そんなことないよー」

 みたいな、醜い会話をしている女の子たちの前を歩いていき、席に着く。

 ふぅ、名前は分からんがどう見ても

 「そんなことないよー」って言ってる女子が一番太ってたけどな~

 あれも、社交辞令の一環なのか?

 それとも、今はふくよかな女の子ブームなのか?

 あんまり、ファッションに詳しくない俺は分かんないな。

 ただ1つ言えることは、誉めていた女子たちの目は全くそんなことを思っているような感じでは無かったけどな、俺ぐらいの人と喋らないダメ男にもなれば人の目とか気にしすぎるあまり、そういうことが少し人よりわかってしまうんだな、そしてこのクラスの会話なんて偽物に満ちている。

 会話の1つ1つ、言葉の1つ1つ、

 その発音の1つ1つ、俺は聞いていてとても不愉快だ…

 言葉は良く人を救うなんて言うが、

 陥れたり、騙したり、傷付けたり

 この世にあるどんなものより、形を変えることの出来る武器だ。

 しかも、日本人は気遣いや察するなどという文化がある。

 否定する訳じゃないし、それがあるから日本人は美徳や道徳がしっかりしているとも思う…

 けど、この頃の若い人達はそれを発言しなくてもよい理由に使っている気がしてならない、発言したとしても表向きの言葉ばかりだ、でもこんなことは意外とみんな気づいているだろう、

 でも、そうはしない

 「ストレート勝負は打ち負かされるってか?」

やべっ、なんか出てきちゃった

 回りを急いで見回る

よし!誰も聞いてない

 いつも通りザワザワしているな!

 まぁ、突っ込んでくる友達なんているわk

 「野球の話?」

 「ぶゆぬせろ!!!」

 え?なになに?ヤバい、ヤバい!

 誰?てか、急になに?

 おいおい、てかさっき俺何て言った?なんか日本語すら出てこなかったんだけど!

 「野球の話?」

 「ぞぅだ」

 ヤバい、朝起きてから言葉を発してないから痰が絡まってこえがでない

 「ゴホンッ」

 「いや、野球の話ではないよぉ?」

 なんか声が高くなったんだけど

 「え?でも、ストレートがどうとかって?打ち負かされるって言ってたよね?」

 「なんと言うか、まぁ、現代日本について考えてたって言うか」

 「若者について考えてたっていうか」

 「なんで、それでストレート?」

 「えっ~と」

 「なんていうか、この頃の若い人達はストレートさが足りないなといいますか…」

 なにいってんだ俺

 野球の話って言って終わらせれば良かったのに…

 「へぇ、難しいこと考えてるんだね」

 「あと、なんで目を見てくれないの?」

 「え?」

 初めて、目を見る

 その瞬間、顔の全貌を認識した

 吸い込まれそうだった

 少し短めの髪に、整った容姿、

 何よりも、吸い込まれるかと錯覚するくらいに黒く薄い目…

 「ん?なんか付いてる?」

 「え?あ、いや、なんも付いてない」

 「なんだ!驚かせないでよ!」

 スパン

 何故か背中を思いっきり叩かれた

 いや、まって?

 こいつ女か?

 めちゃくちゃ痛いんだけど

 思うよりも先に

 「いった!」

 「あ!ごめーん」

 「つい、うっかり力こもっちゃった!」

 へぇ~うっかりでこの力か…

 俺より強いな

 「てかさ、あんまり喋ったところ見ないね」

 「友達いないの?!」

 なんか、こいつ元気ハツラツに喋ってるけど普通に答えにくい質問してくんな。

 「まぁ、友達と呼べる関係の人間はいないな」

 「へぇ!珍しいね!」

 「LINE交換しようよ!」

 「私が最初の友達になってあげる!」

 え?なになに?

 「携帯、フルフルして!」

 「早く!」

 「え?あ、はい。」

 友達に追加された。

 アカウントを見てみる

 「きたの…なんだ?」

 「きたの しずく!」

 あぁ、しずくね、

 ん?しずく?きたの?

 あれ?北乃雫ってあの、女子ランク1位(ダメ男調べ)

 関わってはいけないランキング1位(ダメ男調べ)

 うちのクラスの男子の話題沸騰ワード1位(ダメ男調べ)

 の北乃雫?

 嘘つけ、ありえん!ありえんぞ!

 そんな女子が俺に喋りかけてくるわけが無い!!

 「何、考え込んでんの?」

 「はひっ!」

 「いや、ちょっと…」

 

 「しずー!」

 「何やってんの?」

 見るからに、北乃雫の女友達っぽいのが来た

 「いや、叶くんと友達になったの!エヘヘ、」

 「え?しず、そんなやつと友達になんかになったの?」

 「やめときなよ、どうせ雫の体目当てだよ」

 まぁ、こう思われるのは仕方ない…

 「どうせ、しずが優しいからって友達になって~!とか頼んだんでしょ」「こいつが、人と喋ってるの見たことないもん」

 「いい加減、気づいたら~?」

 「浮いてるよ、アンタ」

 「それな~、ウケるー」

 ふぅ~、落ち着けキレても何にもならない、飲み込め!でもなんか、悲しいな俺別に悪いことしてないんだけどな。この、女子二人に言われてる事なんて俺の人生の障壁にならない。

 落ち着け!

 「ちょっと、やめて!」

 「千代、紗奈!」

 「私から友達になって欲しいって言ったの!」

「あんたら、性格悪すぎ!!」

 「叶君に謝って!」

 おい!やめてくれ、このままじゃ俺が惨めだ、

「そうやって人の悪いところしか見れないのに、友達と喋るときだけ良いことだけ言うなんて虫が良すぎない?」

「ストレート勝負してきてよ!」

「友達と喋るときも!」

 ん?ストレート勝負?

 さっき俺が言ってた言葉だよな

 まさかな、俺は会話の事なんて1つも言ってないはず…

 「卑怯で下劣で最低だよ!」

 ドクンッ、

 ん?なんだ?

 目から汗が、おいおい、やめてくれよ高校生だぞ。

 何とかバレないように涙を拭う

 俺の言いたかった答え、俺の考え、

 気持ちの良いほどに核心を突いた言葉を口にした女の子の名前は

 

 

 北乃雫

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

目立たないダメ男の俺がカーストトップになってしまってる件 芝村海 @77101717

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ