第2話 大好きなあの子のもとへ
口をゆすいだ後学校を出て、校門に着くと一台の車が停めてあった。
コンコン
車の運転手側の窓を軽くノックすると窓が開く。
「滉次郎様、おかえりなさいませ。」
「わざわざ来てくれてありがとう、佐武さん。」
今日はもう一つの大仕事の準備をするために急いで家に戻らなくてはいけない。申し訳ないが胡桃沢家の運転手の佐武さんに頼み、迎えに来てもらったのだ。
「いえ、私は胡桃沢家直属の運転手なのでお気になさることはありませんよ。頼まれたらどこへでも迎えに行きます。滉治郎様さあどうぞ。」
「ではお願いするよ。」
後部座席のドアが開き、急いで車に乗り。何件かメールが来ていたのですぐ打ち込み返信する。あいつ、もう着いたのか。
何分かしてようやく家に着く。
「あそこにも車でお送りいたしましょうか?」
「いや、この車では目立つからやめておく。それに駅で待ち合わせをしてるんだ」
「わかりました。では行ってらっしゃいませ。」
「ああ。楽しんでくるよ。」
家に着くと佐武さんからありがたい申し出があったがそれは断わり、迎えの礼を言って急いで家に入る。
俺の部屋は二階にあるので一気に階段を駆け上がる。
「あらぁ!おかえりこうちゃん、どうしたのそんなに急いで。」
二階へ行くと飼い猫のモナちゃんを抱っこした母と出くわした。
「ただいま、母さん。ちょっと友達と出かける用事があるんだ。」
「あら〜そうなの、楽しんでらっしゃい。」
俺は自分の部屋に入り、支度を始める。
そう今日の俺の最大にして最高の大仕事をしに行くために。
今日のためにさまざまな練習や体力作りをしてきた。
あそこでは体力がないと最後までは生きていけないのだ。
よし、持っていくものはこれで全部だな。
部屋を出て一階に下りると母さんが紙袋を手渡してきた。
「こうちゃんこれお友達と食べて。お昼に作りすぎちゃったの〜。」
母が渡してきたのはオレンジマフィン。お菓子作りが趣味なのだが、なぜかいつも大量に作ってしまう。味はまじでうまい。
「美味しそうだね。ありがとう。」
「いってらっしゃい。」
「いってきます。」
家を出てまた急いで駅に向かう。
《あと40分くらいで着く。》
メールを送るとすぐ返事が返ってくる。
《了解!南口の改札前にいるね!》
やっと着いた。
でもまだ待ち合わせ場所にいくわけにはいかない。
海亭幕春駅で降りて最初にトイレに入る。
そして持ってきた、可愛い女の子たちのイラストがプリントされてあるはっぴ〜♡おっぱいがーるず◎◎と書かれたTシャツとパーカーを着て、前髪が斜めに長い金髪のかつらと帽子をかぶりレンズが大きめのサングラスをかけ、ばっちり変装する。顔がほとんど見えない感じだ。
毎回思うが完璧な変装だ。誰がどう見ても胡桃沢滉治郎だとはわからないだろう。全く別人じゃないかさすが俺。
しっかり変装も済ませたので待ち合わせの南口に向かうとすでに集まっていた。
「ナッツこっちこっち〜!」
ナッツとは俺のこと。呼んだのはゆのぺいというとぅうぃったーで知り合い意気投合したおっぱい友達だ。
「ごめん、待たせたな。ちょっと学校でしなきゃいけないことがあって。」
「なんか忙しかったんだね。おつかれい!よーし!じゃ、集まったことだし早速いこーう!」
「ああ!!」
どうして変装をして来たかって?それはもう言わなくてもわかるだろう?
まあ説明すると俺がちょっとだけ有名人だからだよ。学校でもなかなか目立つ役割を担っているし、家のパーティーやらでそこそこ偉い人たちと関わりがある。だからもし俺がここで何をして何を買ったのかがバレたらいろいろと面倒だろう?胡桃沢という名を背負っている以上、やらかすわけにはいかない。それに学校での立場というものもある。普通にアニメオタクだったら多分全然問題ないだろうが、おっぱいというのはさすがに偏見のまなざしで見られるだろう。俺はしっかり学校生活も充実してしっかりおっぱいもしたいのだ。
別に俺はバレたっていいんだ。ここですることも買うものにも誇りを持っている。だけどなかなか受け入れてもらえないことも分かっている。
だからこそ変装して出かける!!はっぴ〜♡おっぱいがーるずの声優ライブ兼サイン会に!!
はっぴ〜♡おっぱいがーるずとはエロゲに出てくるアイドルユニットだ。初めは知名度なんて全然なかったが、キャラがものすごく可愛く、歌もジャンルが豊富でという理由で人気が出てきた。今は全年齢対象でアニメ化され、そこでも新たなファンが増え、今や幕春モッセのイベントホールでの大型ライブができてしまうほど人気になったのだ。
まず掛け声は基本おっぱいだ。
そして俺の推しはぽよちゃんという巨乳キャラ。
もう隠さずに言おう。俺は美少女が出てくるアニメやゲームが好きだ!!そしてそのなかでも巨乳キャラが大好きだ!!!
巨乳というのは不思議だ。俺の生きている世界の巨乳はなんか形が悪くあまり魅力を感じない。だが、二次元の巨乳はハリやツヤがあり形も良い、そして柔らかそうでもあるという夢や希望が詰まった宝箱のような魅力がある。所詮絵だからと言ってしまったらそれで終わりだ、でもちがうぞ!!あれは生きてる絵だ!!!俺たちとは別次元で生きているんだ!!!!!
ん?なになに?ぽよちゃんの声の人は巨乳じゃないだと???そんなのは関係ない!!俺には声の人もぽよちゃんに見えるからだ!!声がぽよちゃんということはそれはもう巨乳のぽよちゃんだろう!!!
おっとしゃべりすぎたかな。
今から俺は大好きなぽよちゃんに会いに行ってくるからここら辺で失礼する。
ぽよちゃぁ〜〜〜〜〜〜ん♡♡
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