第11話 エピローグ
「じゃあ、引き受けてもらえるんですね?」
携帯電話の向こうの椎名の声は少し意外そうだった。区P連の総会で市P連会長の説明を妨害、いやそこまでではないにしろ、心ここにあらずという感じで聞いてもいなかったミサトの言葉とは思えなかったからだ。
「はい。ですから、あり方委員会、私も何かお手伝いできればと思ってるんです」
「なんか、小金沢さんから当てられちゃったのかな、あの人もちょっとカリスマ性あるからね。ちょっと責任感じちゃうな」
区Pからの推薦者がすんなり決まったことに椎名自身も戸惑いがあるのかもしれない。
「まあ、小金沢さんの影響ももちろんあるんですけどね。今回、色々な人に関わって、色々思うところがあって、この気持をどうしたらいいかって考えてたんです。あとの人たちのためにも今きちんと考えなきゃいけないとか、他の学校の人にも一緒に考えてもらわなきゃとか、あとは、高田さんにもまたPTAに関わってもらいたいとかね。そういうことを考えたら、自分がまず一歩踏み出さなきゃと思ったんです」
「一歩踏み出すねぇ、それって小金沢さんがいつもクドいくらいに言ってますよね」
「あ、そうでしたっけ。確か、蛇さんが……」
「蛇さん? 誰です、それ?」
「あ、えっと、誰だったかな、まあ、色々思うとことがあってということで……」
「大丈夫ですか? うちの区の代表なんだからしっかり頼みますよ」
「大丈夫、大丈夫。シンプルに考えろ、一歩踏み出せ。あとはなるようになりますよ」
無意識のうちに誰かの受け売りの言葉がミサトの口からこぼれ出ていた。
本当に聞きたかったPTAの悩みごと ~ミサトの話~ 蓮池泉葉 @ptanayamigoto
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