しゅう

...それからもう1週間。

日々に追われて時間は風のように去っていく。

1週間前、ユキと別れて帰った後は、なんだか体力が余りすぎていた。

湧き上がってくるものを誤魔化すように、私は服を脱いで、着替え、帰ってきて5分くらいでまた家を出て走りに行った。

その日は、永遠に走れそうで、無我夢中でランニングコースのある公園を何周もした。

もっと、もっと走りたい、止まりたくない、そんな欲が重なって、気付いたらいつもの倍以上走っていた。おかげで脚はパンパンだったが、何かまだ足りなかった。


あれから、ユキとは連絡をとっていない。

そのまま土曜日が来てしまった。

13:26

私はまだベッドの中で、今日何をするか考えている。とりあえずまた走りに行こう。そのくらいしか思いつかない。

その他、きっとすることは沢山ある。

だけど、する気になれない。

今週あった出来事などを思い返してみる。

バイト先に来たへんな客の事、大きな案件のオーディションがあった事、ヒヤシンスの芽が出た事。

その次には、

「あのね、今週、化粧品のオーディションがあったの!銀座にある本社のビルはめちゃくちゃオシャレで、かっこよくて、来てるモデルもすっごい綺麗で、ほんとにワクワクしたの!」

と、ユキにどう伝えるかを考えている私がいる。会わないのにも関わらず。

これは末期だぁ、なんて思いながら、また意識が遠のいて、気がつけば夕方になっていた。自分でも驚くくらい何もしていない。

19:42

ガバッと跳ね起きてランニングウェアを着て、私は、もう暗くなった冬の夜の空気に浸かって、走り出した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

悪天候ラバー 融解サディ @Yukaisaddy

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ