我輩は雨である。
我輩は雨である。
名前は雨やレイン、レーゲンにピオッジャなどたくさんあるが、とりあえずは雨と名乗っておこう。
大地に降り注ぐ恵みの雨と呼ばれてきた我輩は地上の生物がなんと呼ぼうが気にしない。
我輩は偉大なのだ。
我輩がなければ貴様ら人間とやらは生きていられないのだろう?
我輩は知っているのだ。
しかし、そんな偉大なる我輩にも気掛かりなことがある。
貴様ら人間は我輩のことが嫌いなのか?
もちろん我輩がいなければ貴様らが生存できないのは知っている。
貴様らが我輩を必要としてくれていることも知っている。
だが、我輩思うに貴様らは我輩のことがあまり好きではないのではないか?
貴様らは我輩が現れると、決まって奇妙な道具で顔を隠してしまうではないか。
そうでなくても「アマヤドリ」なんて言って私から逃げたり、そもそも巣穴から出てこないものもいるではないか。
なんならここ最近は我輩が来るのを予知してるそうじゃないか。
そんなに我輩のことが嫌いか?
確かに我輩だってやり過ぎたことはある。
時折加減を間違えて人間に嫌な思いをさせたことは数え切れないほどある。
だが誰だって間違えることはあるだろう?
貴様らだって我輩が住む雲めがけてゴミの混じった煙を出すではないか。
我輩たちは互いが互いに嫌な思いをさせあっているのだ。
だから貴様らが我輩を一方的に嫌うのは変ではないか?
我輩は貴様らが割と好きだ。
こうして頻繁に会いに来ていることからわかるだろう?
我輩はだって貴様らと同じだ。
嫌われれば傷つくし、好かれれば嬉しい。
昔は我輩が長い間会いに行かなければ貴様らの方から我輩を呼んでいたではないか。
それなのに今は我輩を呼びもせずに「なぜ降らないんだ」と謗るばかりではないか。
我輩はそれがひどく悲しい。
貴様らが「空が泣いている」と言う我輩も泣いてしまうほど悲しいのだ。
貴様らが我輩のことを必要としないのならばそう言ってくれ。
それならば我輩は貴様らからどんな扱いを受けても気にしない。
しかし、もし貴様らが我輩を必要とするのなら、どうか我輩に対してもう少し好意を見せてほしい。
ほんの少しだけでいいのだ。
それだけで我輩は十分だから。
我輩は○○である。 コロモドキ @Koromoko
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