終章 エンドロールが流れる頃


 人々が願った奇跡は訪れること無く、その時はやってきた。

 黄昏色の空には大量の流れ星が落ちてくる。それは死を引っ提げながらも美しい光景だった。やがて大きな星が落ちてきた。

 風圧、爆発、熱風、瓦礫、落盤、ありとあらゆる災いが人々に降り注ぎ、そして飲み込み、星は最後の光を放ち砕け散った。

 美術室で描き続けた天才も、愛憎まみれの凡人も、目覚めたばかりの恋人も、目覚めに絶望した青年も、全てを見守る神様も、子供も大人も水も花も動物も何もかも善悪問わず光に飲み込まれて消えてった。

 真っ暗な闇が広がる宇宙から星が一つ消えた。

 ただそれだけの話。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

エンドロールが流れる頃 小谷華衣 @tessen-hina

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ