葛藤する机

@shitu

夏の汗が恋しくなってきていた。

あれだけ深く住み着くことで存在していた建物が、ある日を超え強制的に家出を強いられた。匂いは自分の住処を作り出すための道具であった。香水や制汗剤などの人工物も含め人が作り出す最もシンプルは方法の一つである。その人がどんな人物かを匂いで判断してきた自分が、部活引退後になってからその大好きだったあの建物から自分の匂いがしなくなり自分の居場所を失くした。

空虚になっている自分は間違っているのだろうか?ーただ好きだったものを美化している、自己を癒す道具に過ぎないものを目指してやっていた自分を愚かだと思え。

これからどうすればいい?ー新しい場所を見つけるだけだ。それだけ。社会から与えられる人間ではなく、社会に与える人間になる。それが次のお前の場所だ。まだ間に合う。さぁあどこに向かう??

自分は今までで1番匂いに植え付けることを疎遠してきていたあの場所に、ようやく住処を作ることを決めた。

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