第5話 剣

 捕まえた男二人を縄でぐるぐる巻きにして動けないようにした上で、ローズマリーに小道具のなまくらの剣を持たせた。

「逃げようとしたら、そいつで殴れ」

「えっ、これで?」

「殺すなよ。ゼーマン、行こう」

 ケストナーは道を避けて、林の中を進んで行った。

 案の定、二台の馬車が止まっていた。

 男が二人、二台の馬車の間で立ち話をしていた。

「どうだ?」

「自分一人で行けます」

 その言葉の通り、茂みから飛び出したゼーマンはまたたく間に二人を倒した。

「もう平気ですよ!」

「御苦労さん」

 ケストナーは馬車の荷台を覗き込んだ。

 薄暗りの中、膝を抱えて小さくなった子供が幾人も見受けられた。

 その姿は親鳥の居ない中、巣で震えているひなの赤ちゃんのようだった。

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