第3話 刺
「あっ、ジャガイモ発見!」
ローズマリーが棒で突くと、焚き火の中からゴロゴロ出て来た。
「
と、ゼーマンが聞いてきた。
「山賊という
「何かの運び屋ですかね?」
「食べ頃だよ」
と、ローズマリーは呑気に構えていた。
「この辺りは余り降らなかったみたいね」
「……」
「どうしたの、ケストナー?」
「そこに誰か居る」
「えっ!」
「静かに。そっちで何かが動いた」
「さっきの奴等?」
「いや……そんなに大きくなかった」
一帯は低木が群生していた。
ケストナーはゆっくりと前へ歩を進めた。
「ケストナー、刺が」
と、ローズマリーが後ろを付いて来た。
「分かっている」
注意深く踏み入って行く。
ふと、左下方に視線を遣ると、人影が
やはり子供のようだ。
逃げられないと悟ってか、動こうともしない。あるいは恐怖がそうさせているのか?
「女の子じゃない。こんな所で何しているの?」
「……」
「
「……」
女の子は一言も答えようとしない。着ている服はどちらかと言うと、町の子供のそれだった。
「私はローズマリー。この人はケストナー。私達、旅芸人の一座なの。旅芸人と言っても、軽業師とかじゃなくて、お芝居ね。あなた、お芝居は見た事ある?」
女の子は
「そう……
「ユッタ」
「ユッタ。いい名前ね。もう一つ、聞いても良いかしら?」
その、髪の長い女の子は頷いた。
「あなたは先程まで
再び頷く。
「あの男達は何者?」
「
「
「別の人」
攫われた後、少なくとも一回は売買されたのだろう。
「君以外にも、攫われた子供があの馬車に乗っていたのかい?」
と、ケストナーが割って入った。
「うん……沢山」
「沢山って、どのくらい?」
「私が乗っていた馬車に、十人位。もう一台にも同じ位」
「ねえ、ユッタ。
ユッタは首を縮めた。
「怖がらせてどうする?」
「えー、だって」
との、ローズマリーのお
「おっ、笑った……ユッタ。お願いだから、冗談抜きに出て来ておくれ」
ケストナーが懇願すると、ユッタは
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