第2話 四人組
街道を外れて、馬車を横道に入れた。更に途中で道が二又に分かれていた。
「どうします? 止めにしますか?」
煙が在る方の道は林に囲まれていて、視界が遮られている。おまけに道幅も狭く、草が生茂っていた。
「えー。ここまで来て、引き返すの?」
と、ローズマリーが駄々を
「狼が出そうだな」
「真昼間に?」
「どうします?」
と、ゼーマンが再度訊ねてきた。
「前へ進め!」
ローズマリーが指示を出す。
「だとさ」
馬車は林の小道を進んで行った。
「居たわ!」
道の右手側の奥一帯が開けていて、そこに幌付きの馬車が二台止まっていた。
「ジプシーじゃないな」
男の姿が四人確認出来た。
「警戒していますよ」
と、ゼーマンが言った。
「歓迎されていないようです」
「私、隠れる」
と、ローズマリーは後ろの荷台にさっと身を沈めた。
向こうの二台は幌の前後は閉ざされていて、中の様子は分からなかった。
男が一人こちらに近づいて来て、声を掛けてきた。
「やあ。あんた方も旅の途中かい?」
「ああ。そちらも?」
「そうだ。今、昼飯を取っていた所だ」
「こちらはジプシーかと思って来てみたんだが。違った」
「ははっ、そうか……
「有難う。そうさせてもらおう」
「水も向こうに小川が流れているから、そこで
「本当かい。そいつは助かる」
男達は早々に片付けを済まして、馬車に乗り込んだ。
「じゃあ、先に行くよ。火元の始末を頼む」
「分かった。良い旅を」
二台の馬車は左折すると、木々に遮られて直ぐに見えなくなった。
「行った?」
と、ローズマリーがすっぽり被った毛布の中から頭を出した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます