第104話 パーティ4人とボーナスステージ(1)
夏休みの最終日、8月31日。
夏の終わりは憂鬱だ。
そんな事を誰かが言っていたような気がする。
でも和己は正直なところほっとしていた。
正直なところもっと早く夏休みが終わってほしかったくらいである。
理由は言うまでも無い。
女3人に夏休み中引っ張り回されたからである。
○ 真夏のホテルビーチ
○ 真冬の温泉宿
○ 真冬のスキーリゾート
○ 秋のキャンピングロッジ
等々。
いったい幾つの仮想現実へ行っただろう。
少なくとも30回近くは行っている気がする。
和己はもう考える気力すら無い。
基本的にアクティブなのは苦手なのだ。
「どうしたの、しけた顔してさ」
遙香がそう尋ねる。
ここはゲーム中にも行った夏のリゾートコテージ付き。
プレイベートビーチのサマーベッドの上だ。
結局ここが皆一番気に入ったらしい。
多分5回は来ている。
ちなみに宿泊も1回やった。
勿論その時は男女別部屋だったのだが。
「やっと夏が終わるのかな、と思ってさ」
「そうだね、なんか名残惜しいよな」
遙香は和己と反対の感想を抱いているらしい。
「そう言えば今度、例のゲームがアトラクションになるらしいわね」
冬美がそんな話題を持ち出す。
「何か新聞にそんな記事が出ていたわよ。9月1日堂々オープンって」
「夏休みには間に合わなかったようだな」
捜査が思った以上に長引いたのか、それとも事件現場をアトラクション化する事に色々障害や抵抗があったのだろうか。
遅れた件についてはシステムも不本意だろうと和己は思う。
確かお盆休みに間に合わせたいとか責任者が何処かでコメントしていたし。
「それで今度の土曜か日曜に行ってみない?」
「僕はいい」
和己はそう言って断る。
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