第102話 私とあなたとボーナスステージ(6)

 翌朝の午前7時30分、食堂にて朝食中。

 焼き魚に卵焼き、川エビの佃煮に焼き海苔と燻し沢庵、生卵に納豆に山菜とキノコの天ぷら、山芋のとろろ、川マスの刺身、それとなめこの味噌汁とご飯。

 なかなか美味しそうな純和風の朝ご飯だったが、和己の表情は今ひとつだ。


「どうしたの。何かあった?」

「いや、単に朝に弱いだけ」

「え、そうだっけ?」


 勿論単なる寝不足である。

 でも理由を菜月に言うわけにもいかない。


「今日も9時に遙香達と待ち合わせだよね。来年から少しずつ受験モードに入るだろうから、今年はその分遊び尽くそう、ねっ」


「ああ」

 和己は機械的に答えつつ、それでもご飯を置いてあるおひつからおかわりする。

 寝不足でも取り敢えず飯は美味しい。


 和己が4杯目のおかわりをした時、テーブル上に置いておいた菜月のスマホが軽く振動した。

 菜月は手に取って確認する。


「遙香からのSNS。市民センターも市民会館も警察が捜査しているようで入れないって。システムから連絡が来ているみたいだけれど、そちらはどうだって」


 和己は羽織の袖からいつものタブレットを取り出す。

 ゲームを起動すると確かに通知が来ていた。


『モード移行に伴い入口等の変更を行います。なお警察の捜査中は大規模娯楽室以外には入れませんのでご注意下さい。

 なお貴プレイヤー最寄りの入口は次の通りです……』


 その場所を確認して和己は苦笑する。

 確かに他に人はいないし便利だけれども。


「遙香に連絡してくれ。待ち合わせは大規模娯楽室の設定端末前9時30分に変更って。多分向こうも最寄りに別の入口が出来ていると思う。こっちも……」


 和己は菜月にタブレットを渡す。

 菜月は中身を読んで吹き出した。


「何これ。確かにエクストラモードのクリア特典は4人だけみたいだけれども、これはいくら何でも場所として酷すぎない」

「まあ便利だけれどな」


 新しい入口は和己の家の玄関内。

 玄関入って右の物置の扉である。

 普通に開ければ物置なのだが2回、1回、5回、3回ノックして開けばエクストラモードのあのエレベーターに出るそうだ。

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