第10章 最終ステージ
第91話 パーティ4人とラスボス
「いよいよ最後ね」
「ああ」
4人の前の部屋には『作戦指揮管理室』と書いてある。
格納庫はパスしたので事実上の最終目的地だ。
和己はドアの前に立ち、深呼吸してから口を開く
「行くぞ」
ボタンを押すとドアは音も無く開いた。
中は第1や第2の指揮所とも似た構造で、ひな壇が並んでいてその前に操作卓数人分がある。
また壁は例によってパネルが並んでいる。
そこそこ広い、おそらく50人程度は余裕で着座できる部屋だ。
だが今は見たところ、いるのは1人だけ。
年齢不詳なグレーのスーツ姿の男が独り、制御用のひときわ大きい操作卓に座ってこっちを見ている。
彼はこっちを認めると立ち上がり、拍手で迎えた。
1人だけによるまばらな拍手音がうつろに響く。
「おめでとう。エクストラモードのクリアだ」
和己は大きく息をついた。
「何も無し、か」
「まあ座ってくれたまえ。長くなる。残念だが碌なもてなしは出来ない。その代わりそれなりの解説なり何なりはさせてもらうとしよう」
和己を始め4人は手近な椅子に腰掛ける。
「さて、導入代わりにこちらから質問だ。君はここに座っているのがどんなキャラクターだと予想していたのかな」
「プレイヤーならカリスマか中間管理職か。この場合はある程度の荒事になるだろうと思っていた。まあ負ける気は無かったけれどな。
逆にシステム側ならすんなりと通してくれると思った。
結果は明白、俺達はシステムに踊らされていたという事か」
男は妙に人工的な微笑を浮かべる。
「ゲームとはシステムに踊らされて時間を潰す物ではないのかね」
「その通りだよ。ただそう率直に言うと誰もゲームなんてしなくなるだろうな」
「確かに」
男はそう言い微笑を浮かべ、再び和己に質問する。
「このゲームの目的は何だと思う?」
「ゲームの目的は広まる事と遊ばれる事。そうチューターは言っていたけれどな。
このゲームに関して言えば、最初は睡眠槽にて長期睡眠中という現実を周知させ、次の工程をスムーズにする為のティザーキャンペーンみたいな物だと思っていた。
でもきっとそれだけじゃ無いな。これからのプログラムで妨害になりかねない要素、反対派の人間とかそれに使われやすいプログラムの設定等を確認する。そんな目的も含まれているような気がする」
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