第81話 ゲームプレイヤーと組織分派(3)

「最終警告となります。直ちに今の行動をやめて下さい」


「くたばれこのゴミ!」

 男は更に左手も突き出す。


 さらに一段と激しい火炎が和己とロビィを襲う。

 それでも和己は全く動こうとはしない。

 ただ少しいらついてはいるようだと菜月からは見えた。


「強制措置、実施します」


 ロビィがそう言うと同時に炎は止まった。

 男も消え失せている。


「ゲーム規約5の1の5、罰則規定に従い強制送還を実施しました」


「ご苦労」

 和己はそう言って立ち上がる。


「今のがどういう措置かはゲームの規約を読めば書いてある。彼はもうゲームそのものも忘れてしまっただろうけれどな。


 さて、率直に言ってそちらには失望した。僕は馬鹿は嫌いだ。それに時間を無為に使う趣味も無い。ここからは勝手にさせてもらう。

 ロビィついてこい。他は3人の警戒実施」


「待ってくれ!」

 レゲエ風の男がそう言って立ち上がる。

 和己は足を止めない。


「言いたい事があればそこで言え。僕はもうそちらには何も期待しない」


 和己は操作卓の方へ向かい、何やら操作を始める。


「我々はシュモースの本流、回帰派だ」


 和己はもう返事すらしない。端末を何やら操作してパネルを確認している。


「人類はかつて過ちを起こし地球を自然環境を破壊した。それはそちらも知っていると思う!」

「第1通信室封鎖解除か。他に余分なプログラムも動いているな」


 和己は更に端末を操作する。


「失礼じゃ無い!こっちが話をしているのに!」


「失礼なのはどっちの方だ」

 和己は作業をしたまま言う。


「僕はこれでも話し合いの場を設けたしその時間ももうけた。ただその行動はそちらの短慮で返された。失礼だというならどっちが失礼か足りない頭で考えろ。


 だが僕も温情が無いわけではない。もしそっちが真に重要なり大切な行動をしているというなら言葉で僕を動かしてみろ。一応耳は傾けておいてやる」


 和己はそう言いつつも手は止めない。


 ヒステリーを起こして騒ぎ出す女。

 もう言葉は罵倒語しか聞こえない。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る