第68話 4人パーティと南国リゾート(4)

「残念!キールもサングリアも梅酒すら無い!」

 コテージの方から遙香の声がする。


「未成年はアルコール禁止!」


「野暮な事言うんじゃ無いの」

 菜月から和己にチョップの一撃が来た。

 まあいつもの事なので和己はさっと右に避ける。


「こういう処でラグジュアリーな感じのバカンス気分に浸るには、やっぱりキールかサングリアのグラスが必要でしょ」

「何があるの?」


 冬美がコテージの方へ歩いて行く。


「グレープジュースとかジンジャエールとかオレンジジュースとか。シャンメリーとこどもわいんがあるのがいかにもお子様用って感じで馬鹿にしていてむかつく」


「いいじゃないの。じゃあ用意しましょ。おつまみはあるんでしょ」

「それは大丈夫。注文通りチーズクラッカー生ハム乗せが置いてある」


 何か和己が知らない注文が色々あったようだ。

 女性陣が遅れたのはこのせいだったのだろうか?


「じゃあテーブルにそれぞれ並べるわよ」

「ドリンクは自分で選んで自分で入れること。好みあるしね」

 何やら遙香と冬美が妙に盛り上がっている。


 5分後、サマーベッドに横たわりつつグラスの液体を楽しみながらオードブルを楽しむ4人という絵面が完成した。

 4人それぞれラグジュアリーの幻想を楽しむ。


 しかし。


「うーん、やってみるとあまり面白くないわね、退屈」

 言い出した張本人の遙香が真っ先に飽きた。


 ちなみに彼女のグラスはグレープジュース。

 ワインに一番色が近いという理由である。


「そう、なかなかこれも気持ちいいわ」

 冬美は満足しているようだ。

 ちなみにグラスはジンジャエールだ。


「じゃあ軽くビーチで遊ぼうか。巨大浮き輪もあるし」

 サイダーを一気に飲みきって菜月は立ち上がった。


 ちなみ和己はオレンジジュースとコーラを瓶ごと確保している。


 ◇◇◇


 結局遙香はビーチでぷかぷか浮いているだけでは満足できなかった。

 結果、冬美と和己を巻き込んでの1対1の勝ち抜きビーチボール大会となる。

 ルールはほぼバレーボール。

 ただし1人なのでレシーブもトスもサーブも1人。

 つまりダブルコンタクトの反則はなし。

 むっちゃきつい。


 1回戦の和己対菜月戦は順当に菜月の圧勝。

 次の遙香対冬美戦は途中まではいい勝負だったが、途中で疲れて動きが鈍った冬美に対して最後まで動きが変わらなかった遙香が結果的に勝利。


 最後は菜月対遙香となったが、10センチ以上の身長差が終始有利に働き菜月が結局圧勝。

 結果全員で疲れ果てサマーベッドで昼寝となる。

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