第66話 4人パーティと南国リゾート(2)

 その後、更にホットドッグとお好み焼きがテーブルに追加された。

 それでもまだ待ち人は来ない。


 たかが布地の少ない服に着替えるだけでどれくらい待たせる気だ!

 和己がそんな感じで若干いらついた頃、ようやく3人の姿が現れた。


「やっほー、お待たせ!」


 そんな事を言いながらでっかいシャチ型浮き輪を抱えた菜月がやってきて、浮き輪を置いてポーズを取る。


「どう、似合う」

「はいはい、似合う似合う」

 和己はわざとぞんざいな返事をする。


 菜月が着ているのは黒のシンプルなビキニ。

 特に飾りっ気のないデザインだが長身でスタイルがいい菜月が着るとなかなか決まっている。


 実際似合っているなと和己も思うのだ。

 ただそれを面と向かって言うのは何か癪に障る。


「これ、素直に似合っているとか綺麗だとか言わないか、おれおれ」

 菜月がいきなり和己にヘッドロックを仕掛けた。


 おいおい待て待て待て待て!

 ちょっと和己もパニックモードに入りかける。


 柔らかい感触を思い切りあちこちに感じてしまうのだ。

 特に多分肩の後ろ辺りの感触が大変にやばい。

 おいおいまずいまずいまずい……


「ギブギブ、ギブアプ、アップ!」

「うーんやっぱり歯ごたえ無いな」

 菜月はヘッドロックを解いた。


 そういう問題じゃ無い!と和己は言えない。

 さすがの和己も今のギブアップの理由を正しく話せる度胸は無い。


「お戯れでございますな」

 冬美が妙な口調で2人をからかう。


 冬美の水着は白地に青い花柄が入った上下にフリフリの布付きのビキニ。

 かわいらしい感じでよく似合っている。

 そして案外胸があるな、と思わず和己は確認してしまう。


「でも菜月はスタイルいいからいいよな」

 そう言った遙香は赤系統の柄入りで上も布多めで下はスカート風の水着だ。


「でももう少し胸が欲しいな正直なところ。冬美がうらやましい」

 菜月はスマートでモデル体型なのだが、本人は胸が無い事を結構気にしている。


「でもこの身長でこの胸だと、もてるのは変な人ばっかり」

「変な人ってそこで今目をそらした誰かさん?」


 菜月の言葉に冬美は首を横に振る。


「もっと太めで目がきもいの」

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