第65話 4人パーティと南国リゾート(1)

「やっぱり今の季節なら南国のビーチリゾートよね」

 遙香の提案に残り女2人が頷く。


「俺は雪見温泉がいいのだが……」

「オプションでモーターボートとか付ける?」

「いいわね。どうせ運転は和己が出来るでしょ」


 菜月がポチッとモーターボートのオプションを選択。


「俺は温泉が……」

「水着とかゴーグルとかは更衣室で選べるって」

「せっかくだから大胆なの挑戦してみようかな」

「あるかなあ、似合うの」


「俺は温泉……」

「一応食べ物もあるって、海の家焼きそばとかカレーライスとか」

「お昼近いしちょうどいいね」

「私はかき氷派ね。やっぱり暑い中で頭キーンとなるのがいい!」


「温泉……」


 誰も和己の意見を聞いていない。

 和己を除く3人でポチポチ選択肢を決めていく。


「よし、これで決定!」

 菜月が決定ボタンを押した結果、


『南国ビーチ満喫プラン、モーターボートとバナナボートのレンタル付、プライベートエリア使用可能、海の家のメニュー食べ放題』

 というよくわからないプランが決まってしまった。


「それでは向こうで」

「覗くなよ」

「乞うご期待!」

 3人はそう言いながら更衣室に消えていく。


 和己は一言、

「温泉……」

と未練がましくつぶやき、そして更衣室へと入っていった。


◇◇◇


 女性陣はまだ来ない。

 和己は更衣室の出口を見て、何度目かの溜息をついた。


 人出がそこそこあるいかにも南国風のビーチ。

 ビーチボールで楽しんだり肌を焼いたり浮き輪で遊んでいたりと、まあ良くある光景だ。


 そんな中パラソルの下のテーブルセットに腰掛け、和己は独り後続を待っている。

 和己の前のテーブルにはやきそばとカレーとかき氷の空容器が並んでいる。

 時計が無いからわからないが、もう10分以上は間違いなく待っている。

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