第64話 4人パーティとエクストラレベル(5)

「じゃあ組織は何を望んでいるの?」


 冬美の問いに和己は肩をすくめる。


「可能性としては2つあるけれど今は言わないでおこう。確信がある訳ではないからな」


 ロビィは何も反応しない。


「さて、ちょっと頭を使ったから休憩しよう。後部エレベーターでB2に降りれば大規模娯楽室だ。そこを使うのは問題ないよな、ロビィ」


「問題ありません。現在の権限で使用可能です。危険はありません」


「じゃあ行くか。娯楽室というからには何か楽しめるものでもあるだろう。正直ちょっと気分を変えたい」


 冷静な発言を維持していた和己だが、本人はそのせいか結構疲れているようだ。

 付き合いの長い菜月は何となくそれがわかった。


 第2指揮所を出て右に少し行くと分岐がある。


「右分岐は後部格納庫ですので進行できません」

「なら直進だな」


 直進するとすぐ左折して、そしてエレベーター前になる。

 ボタンは上と下両方ある。


「まずは下へ行くぞ」

 和己は下向きボタンを押す。


 例によってボタンを押せばエレベーターはすぐ来る。

 2からB4まであるボタンのうちB2を押す。

 エレベーターはすぐ止まる。

 扉が開く。


 出ると目の前に扉がひとつ。

 『大規模娯楽室』と扉に記載されている。


 和己が近づくと扉は自動で開いた。

 そして中には銀行のATMのような機械と、『更衣室』と書かれた男女別の入口がある。


「何だこれは」


 和己はATMのような機械に近づき、画面を見てにやりと笑った。


「これはなかなか面白い」

「どれどれ」


 菜月も、そして遙香も冬美も覗き込む。


「おうおうこれは」

「確かに面白いかもしれないわね」


 画面にはこれまでと違い、誘い文句風に説明文が記されている。


『仮想現実を利用したリアルリゾート!

 夏でも冬でもお好み思いのまま!

 あなたの望むリゾートをお楽しみ下さい!』

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