第61話 4人パーティとエクストラレベル(2)
第2指揮所はかなり大きな部屋だった。
巨大なディスプレイが10面程で壁面の半分を囲っている。
更に何席かには様々な操作機器と専用ディスプレイが付いている。
指揮所の各座席は6人分程度だが、後部には20人程度用の会議室もついている。
「ここはこの船のコントロールルームみたいなものか?」
「この天鳥船級箱船242番艦『相模大和』を艦船として使用する場合の予備指揮所です。実際には自動コントロールにより艦隊単位で操船されますので使用されない予定です」
「機器を触ってみてもいいか」
「現在は訓練・展示モードに指定してあるので問題ありません」
和己は早速中央の一段上の座席に座って何やら端末をいじり始める。
「何やっているの?」
菜月が和己の手元を覗き込む。
「日曜日の午後に聞いた話のおさらいが出来るかやっている。館長席なら一番情報をとれると思ってな」
いくつかキーボードとジョイスティックを操作した結果、画面が変わる。
前方の11ディスプレイがそれぞれ違う映像を映し出した。
中央のディスプレイはどうやら中国を中心とした地域の全体図で、3カ所程赤い点が表示されている。
そして右側のディスプレイのいくつかには画像が粗めの航空写真のような写真がうちし出されている。
菜月は気づいた。
これは中国における現在の入植地の状況だ。
「これ以上精細な絵は無理なのか」
「資源不足で低軌道撮影衛星の運用は止まっています。大気圏内偵察機は防衛機構がまだ生きている為投入できません」
それでも大まかな様子はわかる。
巨大な近代的構造体を中心にした街だ。
中心の巨大構造体を除けば石や木材等で作られた住居とおぼしき小型低層建物が並んでいる。
周辺にはかなり広い耕作地も確認できる。
「これで見た限りではある程度入植は成功しているように見えるな。工場や大きな建物が見えないからおそらく文明程度は産業革命前後程度と思われるが」
「その通りです。なお当該地域は最も発展に成功した場所ですが、衛生環境および食料等の関係で、現在の人口増加率はマイナス2パーセント前後、平均寿命は50歳前後と推定されます」
ロビーが情報を補足する。
「その解説は信用する?」
「反証資料が出るまでは信用する」
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