第60話 4人パーティとエクストラレベル

 1日間を置いて火曜日。

 夏休み初日である。

 例によって改札に9時に集合して市民センターのエレベーターから入る。


「ここからエクストラレベルまで歩くのって遠いよね」

「本当ならショートカットがあってもおかしくないんだけどな。ただ通常のゲームの終了後のモードだしな」


 そんな事を言いながら歩いて行く。

 パネルの並ぶ長い廊下を過ぎ、分岐を過ぎる。


 と、前方から高さ1メートル位の円筒形の物体がやってきた。


「どうする」

 そう言いつつ菜月は左足を引き、いつでも動ける体勢になっている。


「攻撃はするなよ」

 そう言っている間にも物体は近づいてくる。


 カメラアイとマイク等を搭載した自走式ロボットのようだ。

 今のところ武器の搭載は不明。

 マニピュレーター等は見当たらない。

 5メートル位の間合いをとってそのロボットは停止した。


「登録済みパーティと確認。通行を許可します。なおこれより先の地区は危険が伴う場所があるため、私が同行して案内致します。私は艦内艦橋維持用ロボットR2-QD03、ロビィ、とお呼び下さい」


「監視だね」

 冬美の言葉に和己は頷く。


「だとしても断る理由もない。わかったロビィ、同行を頼む」

「了解しました」


「それで早速だがロビィ、規則破りルールブレイクの連中が出没しやすい危ないエリアはどこか教えて欲しい」


 返事が来るまで1秒程度の間があった。


「回答は拒否されました。故意に危険エリアに近づく恐れがあると判断されました」

「厳しいな、これは」


 和己は苦笑する。


「申し訳ありません」

「いや、お前のせいじゃない、気にするな。でもこんなのロボットに言っても意味ないか」

「そうだね」


「なら予定通り行くとするか。次は第二指揮所か」


 日曜日に艦内図を見てある程度今日のルートは決めてある。

 まずはこのB1階層にある第2指揮所、後部格納庫だ。

 その後B2階層にある大規模娯楽室まで行ければ行くのが今日の目標だった。

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