第58話 パーティ4人情報整理中(2)
「組織と言っても私は末端もいいとこだったし。だから全容は良く知らないんだけどね」
冬美はそう言って話し始める。
「まずは組織の目的。これは『人類の救済』よ。この人類にはまだ入植前で長期睡眠中の人も既に入植後の人も両方含むの」
「それはまた、ずいぶん大きく出たな」
冬美は頷く。
「まあね。組織によれば既に生存可能なのに入植を始めていないのは陰謀の証拠である。
その陰謀とは特定の権力者層による地球の支配であり、そのためにもほとんどの長期睡眠者は今後とも目覚めさせるつもりは無い。
また協定外の国々の入植活動は今後の入植活動の為のサンプルである。既に協定外の国々の上層部とも話は通じており、遠くない将来に彼らのみで地球を独占使用するつもりである。そうなっているわ」
「まあありがちな陰謀論だね」
「今では私もそう思うわ」
冬美は頷く。
「現実を否定されかけて気が弱っているところに現入植者の悲惨さを説かれてつい組織に入ってしまったけれど。今思うと我ながら不覚だわ」
「まあそのおかげで色々情報を教えてもらえるんだけどな」
和己の言葉は慰めか単なる事実か。
菜月は後者と判断した。
「まあうちもこの石頭がいなければ危なかったかもしれないけれどね」
冬美へのフォローのつもりだったが和己は別の意味に捉えたようだ。
「石頭とは何だ石頭とは」
「反応するのは自覚がある証拠」
最近は
まあ菜月は必要とあれば論理も何もかも超越してしまうので勝ちようが無いのだが。
「じゃあこのゲームは一体何の目的で起動しているんだ。いや組織は何の目的で起動していると思っているんだ」
「協力させられた技術者が良心として残したんじゃないかって。でもそれはシステム側にばれた。ただシステム中枢部にコードを埋め込んであるので権力者側も完全に削除する事が出来なかった。だからレベル5には偽りのゲームオーバーが仕掛けられている。そう言っていたわ」
「それがあの右側通路か」
「彼らに言わせるとそうなんでしょうね」
「とすると通路直進側に何があるか、か」
和己はそう言ってタブレットを取り出す。
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