第54話 パーティ3人と潜水基地(4)

 ようやくパネル展示の終わりが見えてきた。


『現在、地球の環境は人類が生活できる環境に戻りつつあります。

 これを受けて協定各国の長期睡眠装置は減速装置の通常復帰プログラムをかいししました。

 現在は長期睡眠装置の対外部世界との時間速度比は初期設定の1000:1から250:1まで復帰しています。外部世界時間200年以前に第1次復帰計画が実施される予定です』


『第1次復帰計画の主役は自動機械です。これらにより新たな都市を建設するとともに住環境、生活基盤、インフラ等を整備する予定です』


『第2次復帰計画の開始とともに入植が始まります。18世紀以前の自然環境と21世紀初頭の生活水準、23世紀の科学技術。これらに支えられた新たな生活は何も不安も問題もありません』


『また入植開始とともに新しい世界秩序に向けた統合政府設立への話し合いも開始されます。これで戦争の脅威も過去のものとなり、新たな環境のもと、新しい世界が羽ばたいていくことでしょう』


 ここでパネルは終わっていた。

 そして3人の端末が振動する。


『おめでとうございます。

『Novus ordo seclorum』ゲームクリアです。

 新しい世界は仮想世界の年数で2年以内に入植が開始される予定です。

 まもなく仮想世界側でも事前教育活動等が始まる予定です。

 いましばらくお待ち下さい』


「終わっちゃったね」


 菜月が和己の方を見る。


「右の通路を行くとゲーム終了って出たけれど、どうする?」


 確かに通路はパネル展示が終了した先で右側に分岐している。


「いや、まだだ」


 和己はそう言って笑う。

 いつになく獰猛な笑いだ。

 その笑いは菜月も久しぶりに見る。

 前に見たのは、そう1年前か。


「まだ謎は半分程度しか解いていない。そうだろう、秋良」

「えっ」


 遙香の驚きの声。

 そして背後、何もなかった筈の場所からふっと人影が現れた。


 この前と同じ黒髪の美少女の姿だ。

 彼女はふっと微笑んだ。

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