第6章 レベル5

第53話 パーティ3人と潜水基地(3)

『レベル4クリア!レベル5へ移行します』

 確認ボタンを押すと次のメッセージが出る。


『前部・後部連絡通路を使用する権限が追加されました。以降はパスコードなしで自由に扉を通過することができます』


「考えてみるとここまでスムーズに来れたのって凄いよね」

「まあ和己だからね」


 遙香の言葉を奈津希はいつもの台詞で返す。

 廊下はすぐ先で右に折れていた。

 そしてその先は長い廊下だ。


 今までと違うのは廊下の片側に何枚ものパネルと説明パネルがついている事だ。

 先行したプレイヤーも見ながら進んでいる。


 最初のパネルは何かの調印式らしい写真だ。

『2145年4月4日、終戦後の悪化した地上環境に対応するため、主要国およびそれに賛同する国家によって、地上の監視および利用についての協定が結ばれました。これは締結年を取って『2145年協定』と呼ばれています』


「資料室で見た内容と同じだね」

「そうだな」


 次のパネルは協定の説明だ。

『2145年協定の主な内容は、

  ○ 本時点での各国国境の維持と尊重

  ○ 地上利用不能時期における監視・停戦維持以外の地上活動の禁止

  ○ 地上利用開始時期における合意事項

  ○ 地上利用開始後の統合政府設立に向けた協力

の4点です』


 更に次のパネルを見る。

『協定を受けて日本では、海底避難計画を策定しました。

 これは日本の2145年当時の人口4千万人および周辺協力国家の現存人口4千万人の避難計画のタイムスケジュールと避難施設の規格の策定等を含みます』


「今までの説明不足だった部分の解説ね」

「そうだな」


 パネルは続いていく。


『避難施設の規格策定のため、様々な学者による検討が行われました。

 またこの時の協定各国とも様々な情報共有が行われました』


 和己はいくつかはさっと見て読み飛ばしていく。

 菜月達も和己に続く。


『仮想空間は21世紀初頭の生活環境に設定されました。

 これは将来の地上移住後の生活を設定する上で、当時の生活環境がもっとも自然負荷、科学技術維持、生活環境維持の面から見て近いと判断されたからです。

 この環境の基準を基に仮想空間および地上移住環境が設定されます』

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