第52話 パーティ3人と潜水基地(2)

 娯楽室からずるずると大人数で歩く。

 奈津希と遙香、そして和己と男と5人の他にも少し離れてついてきている人間がいる。


「あれって大丈夫?」


「大丈夫、どうせ戦闘は出来ないし。それにゲーム上も問題ないだろう」


 和己はタブレットを操作しヘルプに聞いてみる。


「はい、問題ありません。他のプレイヤーにパスコードを聞くことも、ついて行ってパスコードを見るのも問題ありません」


「ほっ、ヘルプにダメ出しされたらどうしようかと思った」


「だったらあの街をクリアしてませんって」

「それもそうだな」


 ガハハと男は笑う。


「それよりパスコードを教えてやるから仲間になれって勧誘ありませんでしたか」

「おうおういたなそんなの。何か怪しいから断ったけどさ」


「やっぱり怪しかったですか」

「俺は向こうからくる勧誘は全部断ることにしてんの。宗教とか新聞とか碌な事がない」


 そんな感じで歩いて行く。

 やがて通路は左に曲がり、すぐに通路を塞ぐ扉が見えた。


 レベル2の最後と同じような作りの扉だ。

 違うのは中央の液晶表示が大きい点。

 液晶には『パスコードを入力して下さい ****』とあり、最初の*の下にカーソルが点滅している。


「さて、じゃあ試してみますか」


 和己はそう言って、紙を見ながら『2153』と打ち込む。


『パスコード確認しました。レベル5通路オープンします』

 表示がそう変化し、あっさりと扉が左右に開かれた。


「すげえ、一発だな。参考までにその2153とは何なんだ?」

「このゲーム内で海底避難計画の実施が始まった年ですよ。資料室で検索するとでてきます」


「ありがとよ。じゃあ行くか!」

 男はそう言って走り出す。


 だが扉を出た処で急停止し、タブレットを覗き込んだ。

 後続……5人以外にも更に10人位……も、和己達に頭を下げて扉を通過し、そしてタブレットを確認する。


「何があるんだろう」

「この扉をクリアした事によるシステムからの通知だろ」


 そう言いつつ後続が切れた事を確認して和己達は扉を超えた。

 同時に3人の端末が振動する。

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