第51話 パーティ3人と潜水基地(1)

 それから1時間後、3人は再びB1の白い通路に戻った。

 時間がかかった理由は単に和己が食べまくったせいであり、他の理由は無い。

 前方左側に部屋への入口が見えてきた。


「休憩・娯楽室だな。一応確認してこよう」


 3人は中に入る。

 4人掛けのテーブルと椅子が10組位並んでいて、他にリクライニングチェアーとかDVD等鑑賞用のスペース等もある。

 他にはドリンク等の自販機とDVD等が並んでいる棚がある位だ。


 中には5人程いて、うち1人見覚えのある顔が和己の顔を見ると近づいてきた。

「やあ、この前はどうも」


 よく見ると休憩エリアの食堂で和己がクリア方法を教えた男だ。


「どうですか、その後」


 和己も親しげに声をかけたりする。

 必要に応じて如才なくも出来る優等生なのだ。

 本質は別として。


「いやまた壁にあたったんだよ。今度はこの先の通路にある扉。あれがパスコードを必要とするんだけどわからなくてさ。もう行ってみたかい」


「まだですね。パスコードですか……それって数字ですか」

「数字4桁だ。それ以外ヒントは無い」


「そうですか……今の段階で思い当たる数値をちょっと整理してみますか」


 和己はそう言って肩にかけているバッグから資料室で印刷した紙片を取り出す。

 何枚かをめくった後、年号らしきものが並んでいるものを取り出す。


「資料室で作った主要な出来事の年表です。とりあえずこれで試してみますか」


「お、じゃあ悪いがついて行っていいか」

「勿論いいですよ」


「いや、実は俺1人じゃないんだ」


 ちらっと男が背後を見て頷く。

 5人程立ち上がったのが見えた。


「実はここで謎解きしているうちに話があった連中がいてさ。ちょっと一緒にお願いできないかと思ってさ。実は解けそうな奴がもうすぐ来るんじゃ無いかという話をしちゃってさ……」


 要は和己の事を話したという事だろう。

 5人も微妙にばつの悪そうな顔をしつつ頭を下げる。


「かまいませんよ。ただうまく行くかはまだ試していないからわかりませんけどね」


「どうせわからないんだ。上手く行けば儲けものと言ったら申し訳ないけどな」

「じゃあ行きますか」


 男も5人も、勿論奈津希も遙香も頷いた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る