第47話 パーティ3人と客人とランチタイム(3)
遙香は和己が取ってきた量にびっくりしたが、取り敢えず何も言わない。
既に和己の扱いに慣れてきたようである。
菜月は既に驚く事すらしない。
秋良は何を考えているのかわからない微笑のままだ。
なお端から順に全品制覇を狙っている和己の他は、
菜月がスパゲティ、ローストビーフ、サラダとバランス良く
遙香が鶏照り焼き、ローストビーフ、唐揚げ、ハムと肉ばかり
秋良が野菜とフルーツ各種とスープ
という感じだ。
「いただきます」
という言葉の後に恐ろしい勢いで和己が食べ始める。
「それで話というのは何?」
「そうですね。例えばこの世界、実情はどうなっているか掴めましたか」
和己は食事に夢中で応えない。
「でっかい潜水艦の中で睡眠中って言っていたわね、和己が」
だから菜月が答える。
「それについてあなたはどう思いますか」
「別に、何処にいても私は私だし」
菜月の答えは簡潔かつ力強い。
うらやましいな、と遙香は思った。
和己は『これはゲームだ』と言った。
菜月は『何処にいても私は私』と言い切れる。
自分はどうだろうか。
冬美の理由のわからない行方不明。
ゲームと思えない現実からの移行、
少しずつ明かされる世界の暗さとリアルさ。
正直心が揺れているのは自分でわかっている。
「では、あなたはどう思います」
秋良が今度は遙香に聞いてきた。
「何をどう思うの?」
とっさに遙香はそう切り返す。
「この世界をですよ。
現実からあり得ない方法で移行できるのは何故か。
誰が何の為にこのゲームを作ったか。
このゲームは何を言おうとしているのか。
そしてゲームと呼んでいるこの世界は何か。
それについてあなたはどう思っていますか?」
遙香は考える。それは……
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