第37話 3人パーティ休憩中(3)
和己は辺りを見回す。
おかしな処は何も無い。
妙な反応をしている者もいない。
「菜月、悪いちょっと」
和己は立ち上がり、歩きながら菜月を呼ぶ。
「何。もう少しで決まりそうなのに」
そう言いつつも菜月は和己の方へ歩いてくる。
「今僕と話していた女、見たか?」
「え、和己はずっと1人でいたように見えたけど」
遙香もやってきた。
「何かあったの?」
「和己って今こっちくるまでずっと1人だったよね」
「そう見えたけど、何かあったの?」
「ああ」
和己は軽く頭を振る。
大丈夫、今は夢では無い。意識も思考も正常。
「予定変更。ちょっと話したい事がある」
「それって急ぐの?」
「いや、そこまで急ぐ必要は無いと思うが」
和己はちょっと嫌な予感を覚えた。
「じゃあ5分待って。洋服選んで来るから」
「なら私も」
2人がさっと先程の場所へ戻っていく。
和己は小さくため息をついて、先程のベンチに戻った。
◇◇◇
約50分後。
和己は商業施設のある街の端の方にある日帰り温泉内の飲食兼休憩コーナーで憮然とした表情をしていた。
彼の前にはもうすぐ空という状態のオレンジジュースのタンブラーとほぼ食べ終わったホットケーキ2枚重ねあんこのせの皿。
何故こうなったかは簡単だ。
予定よりやや遅れて洋服を選び終わった女2人が向かったのはここ日帰り温泉だったのだ。
なお女2人と書いたが主導したのは菜月である。
「せっかく新しい服を買ったのに、汗まみれの服で着たら勿体ないでしょ。トイレとかで着替えるのも嫌だし」
そして男女別の入口で別れて後30分が経過した。
女2人はまだ出てこない。
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