第34話 3人パーティ休憩中(2)
「ねえ、あんなに簡単に教えて良かったの」
和己は頷く。
「ああ、問題ない。それよりこの後はどうする」
「どうするって、情報を集めるんじゃないの?」
「まあそうだけどさ。むやみに歩き回るのも芸が無いし暑いだろ。ならどうせならやりたい事があればそれをやろうかと思うんだが。情報収集の効率とかは抜きでいい」
「やる気が無い訳じゃ無いよね」
「それは大丈夫だと思う。成算があるのね、和己」
和己は菜月に頷く。
「ああ。ただ時間が必要だ」
「なら着替えたいな。汗臭くなったし」
「本当にいいの、こんな処で時間を使って」
「クリアしたけど探し人は発見できず、となるのは嫌だからな」
和己はそう言って笑う。
それが自信なのか計算なのか単に暑いのが嫌でダレたいだけなのか。
遙香にはわからないが、取り敢えず信じることにした。
一応今までの和己の実績は遙香なりに評価しているのだ。
◇◇◇
そして30分後、今まで以上に疲れた顔の和己がベンチでダレている。
場所はショッピングセンター4階の服飾売り場。
なおそんな和己を注意する立場の2人は熱心に替えの服を選んでいた。
「服選びは誤算だったな……」
和己はそうつぶやいてため息をつく。
女性の服選びは長い。
その事をすっかり失念していた。
ちなみに和己の着替えはとっくに調達済みだ。
今のと同じ色のポロシャツである。
違うのは入手した方は高機能繊維を使用して速乾防臭に優れている事。
なおタオルと下着も調達済みである。
「どうせ今日だけの仮の服だろ」
「だからといって妥協はしないの!」
菜月から返事が返ってきた。
思わず和己はため息をつく。
「何なら俺1人で先に行っているか?」
「駄目、選んだらちゃんと見てもらうから、それまで待っている!」
「はいはい」
何度目かのため息が出る。
なおこのフロアに居るのは和己達だけではない。
プレイヤーかNPCか不明だが、何人かが服を選んだりしている。
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