第33話 3人パーティ休憩中(1)

 3人で相談して、入ったのは和食系のファミリーレストランだった。


「いつも甘いパンとかドーナツとか食べているから、甘党かと思った」

「甘いパンやドーナツはカロリー辺りの値段が安いからな」

「凄く駄目な理由」

「和己だからね」


 ちなみに注文したものは

  和己が海鮮丼と天ざるそば

  菜月がとろろそばとクリームあんみつ

  遙香がカツ丼とフルーツみつまめ

である。

 無料なのでわりと豪勢に注文している。


「それでこれからどうするの?」

「郷はここの休憩エリアを調べようと思う。異議はあるか?」


「行方不明者がここのエリアに来る可能性があるから?」

「それもある」

 遙香の言葉に和己は頷く。


「プレイヤーなりNPCなりに情報を聞くことも出来るだろう。まずはここのクリアよりそっちを優先しよう」

「という事はもうここのクリア方法はわかっているんだね」


 菜月の台詞に遙香が反応する。


「本当なの?」


 和己は小さく頷いた。


「まだ試していないけどな」

「おい、それは本当か?」


 隣の席で天丼を食べていた男が寄ってきた。

 大学生くらいの年齢でややメタボ体型だ。


 他の反応は無い。

 他はクリア済みのプレイヤーかNPCか、または聞こえなかったのか興味が無いのか。


 和己はにやりと笑う。

 菜月で無くともわかる方の笑顔だ。


「ああ。耳を貸せ……」

 和己は男に何やら耳打ちする。

 男は何やら頷いている。


「よしわかった。試してみる。ありがとよ」

 男はそう言うなりスマホを操作して姿を消した。


 隣のテーブルに食べかけの天丼が残されている。


「勿体ない」

 その台詞がいかにも貧乏くさくて菜月は笑いそうになった。

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