第31話 3人パーティと見知らぬ街?(2)

 一見して和己の知らない街。

 ただ同じ時代の日本か、それを真似た仮想空間だ。

 周りの木々や花壇の植物がそう和己に語っている。

 遠くには商業施設らしいビルも見える。


「そういえば地図を見られるんだよな」


 和己はタブレットを取り出す。

 『地図』というボタンが追加されていた。


 タップするとカーナビのような地図が表示される。

 少し方向を変えると地図が左右に動く。

 向いている方向が上になるように自動で動くらしい。


「なるほど、これは便利だ」

 和己を見て2人も地図を出す。


 現在地から道なりに行くと駅から伸びる大通りに出る。

 そこはいくつか商業施設が集まっているらしい。

 市役所出張所もその近くにある。


 念の為和己はぐるっとタブレットを回して周囲の地図を確かめる。

 前進方向以外にはめぼしい建物は見当たらない。


「取り敢えず前進だな」

「他に無さそうね」

「確かに」

 3人の意見が一致し、歩き始める。


 どうもここは広い公園の一部らしい。

 両側が林のようになっていて、その中をゆるくカーブを描いて4メートルくらいの幅の石畳の遊歩道が走っている。


 3分程歩いたところで遊歩道は坂になり下っていく。

 その先に公園の門があり、人影が1人見えた。

 とっさに遙香は緊張するが、すぐにその緊張は解ける。

 見覚えのある案内嬢だ。


「いらっしゃいませ。この街は初めてですか」

「ああ」


 和己は応える。


「それでしたら少しだけ説明させていただきます」


 案内嬢はそう言って一礼する。


「この街は本ゲームの休憩エリアを兼ねております。

 それぞれの店は無料で自由にお使いいただけますので、どうぞご利用下さい。

 ただし食事を除く購入物品や洋服等は、このエリアから外に出た時点で消失なり初期化されますのでご注意下さい」

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