第4章 レベル3

第30話 3人パーティと見知らぬ街?(1)

 3人は廊下の行き止まりの扉まで来る。


『権限確認 扉を開きます』


 扉横の液晶にそう表示されて、扉が開く。

 中はおなじみの受付席と案内嬢だ。


「レベル2クリアおめでとうございます。こちらはレベル3のプレイヤー用のイベント受付でございます」

「ここでのクリア条件は?」


 菜月の質問に案内嬢はいつもの笑顔でこたえる。


「これから行く場所を脱出することでございます」


 案内嬢は右手で入口を指す。


「その入口から中に入るとこちらには戻れなくなります。その状態で中の世界から脱出することでクリアとなります」


「クリアを断念した場合はどこから始まる」

「再びレベル2の廊下経由でこちらに来て頂き、開始となります」


 ちらっと和己はタブレットを見る。


『中級者向け、探索・謎解き系、戦闘可能、途中リタイア可能、再挑戦可能』


 中級者向けとなっている以外はレベル2の時と変わらない。


「他に質問はございませんか」


 案内嬢の質問に3人は顔を見合わせる。


「僕はもういい」

「私も」


 遙香も頷く。


「じゃあ行くか」

「お気を付けて」


 案内嬢に見送られて3人は入口をくぐる。


 ◇◇◇


 急に感じるまぶしさに和己は思わず目を細める。

 そしてはっと気づいて背後を見る。


 入ってきた筈の入口は何処にもない。

 木々の間に石畳の歩行者道が延々と続いている。

 見上げた上は青い空。

 夏の日差しが容赦なく降り注いでくる。


「何よこれ!」


 遙香の言葉に和己は振り向かずに応える。


「いよいよ仮想世界だって事をわかりやすく出してきたな」

「それじゃあこれ、外に出た訳じゃなくて……」

「ああ」


 和己は周りを見回す。

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