第22話 情報処理オタクと幼馴染みと一般人
菜月と遙香は顔を見合わせ、そして和己の方を見る。
「それっとひょっとして……」
「次のイベントがある可能性の高い場所」
「なんでそうあっさり……」
菜月は肩をすくめる。
「こういう人だから。で、どうやってわかったの?」
「例によってSNS全体であのゲームに関するデータを収集して、テキストマイニングのソフトにかけた」
遙香は目をぱちくりさせる。
「言っている意味がわからないんだけれど」
「大丈夫、これで正常運転だから」
和己は意外と表情が豊かだ。
菜月以外には判別できないのだが。
今はなかなか機嫌がいいらしい。
こっちの意表を突いてイベントの情報を教えられたからだろう。
その辺は相変わらず単純だなと菜月は思う。
なら今のうちに聞ける事は聞いておくべきだろう。
そう菜月は判断した。
「そのイベントの情報って他にある?」
「残念ながら無い。イベントのある場所としてテキストマイニングの結果出た場所は全部で3箇所。そのうち城址公園だけは『最初に行くべき場所』という説明があった。あとの桜ヶ丘市民センターと市民会館には説明は無い」
「じゃあ明日……は土曜日か。市民センターは閉まっているかな」
首を傾げた菜月に遙香は首を横に振る。
「大丈夫。休日窓口は開いている」
「そっか。使った事無かったからわからなかった」
「菜月と彼氏って家近く?」
「彼じゃないから和己でいいよ。2つ先、渋山駅の方」
また和己に関係なく話が進んでいく。
面倒なので和己も口出しはしない。
それより2個目のドーナツ、ハニーディップの方が重要だ。
「じゃあ悪い、わざわざこっちに来てもらって」
「イベントはこっちみたいだしね。定期券もあるし」
「そうか。じゃ明日は?」
「早いほうがいいもんね。じゃあ明日9時、西口改札でいい」
「私は大丈夫だけれども、和己の方?」
「どうせ予定は無いし大丈夫。そうだよね」
和己はハニーディップを食べながら頷く。
本音を言うと朝は眠いから嫌だ。
でもどうせそんな意見は菜月に却下されるだろうと、和己にはわかっていた。
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