第21話 幼馴染みと腐れ縁と成り行きの仲間
「わかった。はあ……」
疲れた顔の和己の横で菜月がガッツポーズをしている。
「そういえばさっき案内嬢に変装していたけれど、あれは魔法?」
遙香は頷く。
「そう。厳密には私が案内嬢に見えるように、そして本物の案内嬢が見えないように魔法をかけた。私の魔法は欺瞞。レベルが低いから同時に騙せる対象は少ないけどさ」
「いいなあ、私は魔法無し。腕力で戦えって木刀を渡された。あ、でも欺瞞魔法でどうやって最初の敵を倒したの?」
「敵に私の姿がチューターに、チューターの姿が私に見えるように欺瞞魔法をかけた。結果敵はチューターを襲ってチューターに倒された。それでOKだった」
「凄ーい頭脳プレー」
何か2人でぺちゃくちゃ喋っている。
和己はもう一度深いため息をついて口を開いた。
「で、これからどうする。今日はもうこれ以上活動するつもりは無い。明日以降の予定を立てるなら早くしてくれ」
「あ、そうね。ならそこのドーナツ屋でも入って話をしない」
「そうだね」
ドーナツ屋というのは和己の機嫌をこれ以上損ねない為である。
一応菜月も色々考えてはいるのだ。
◇◇◇
「それじゃあゲームのプログラムはその友達が見つけたの」
「ああ。冬美はゲーム大好きだったからな。ゲーム関係の掲示板を見ていて偶然見つけたらしい。そっちは?」
「和己に何か自動で動くプログラムで見つけてもらった。実質2時間で」
「そういえばそっちのって、彼氏?」
菜月にしかわからない笑顔、普通に見たら見たら無表情でフレンチクルーラーを食べていた和己が顔をしかめる。
「あれは単なる幼馴染みだから」
「あれは単なる腐れ縁だから」
わりときれいにハモったのを聞いて遙香は笑う。
「わかったわかった。弁解無用だから」
菜月は笑顔で和己はしかめっ面。
「で、深見さん。早速だけど次のイベントの情報って何かある?」
「遙香でいいよ。私も菜月って呼ぶから。タメだしさ」
「わかった。遙香、よろしくね」
「こちらこそ。で、次のイベントだけど私の方はこれからネットで探そうかというところ。実際あの場所だって探すの1週間はかかった」
「桜ヶ丘市民センターか市民会館ホール裏楽屋口」
「えっ」
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