第20話 不明少女→プレイヤー3

「何だ?」


 和己が少女の方を向く。


「2人でこのゲームをしているの?」

「ああ」


「ならお願い、私も仲間に入れて」

「断る」


 和己は素っ気無く言う。


「何で?」


「このゲームは危険な可能性がある。他人の危険まで気遣う余裕は無い」

「それはわかっている!」


 その語気に何かを感じた菜月は彼女に聞いてみる。


「何故このゲームをやっているの」


 彼女はちょっとだけためらうように間を開け、そして口を開く。


「冬美、私の親友が行方不明になったから」

「うちと同じか」

「そっちも!」

「私の部活の先輩」

「そっか……」


 女子2人で何やらお互い納得し合っている。

 和己は嫌な予感がした。


「私は桜ヶ丘4年、高校だと1年の草柳菜月。あなたは?」

「大和女子1年の深見遙香」


 和己の嫌な予感はどんどん強くなる。

 そして。


「ねえ、和己」

「断る」


 菜月は和己の返事も意に介さない。


「でも深見さんもどうせこのゲームを続けるよ。だったら3人の方が少しは安全じゃない」

「自分の安全は自分で何とかする。だから」

「後で深見さんが行方不明になったりしたら気分が悪いよね」


 基本的に和己はこういう状態で菜月に勝てた事は無い。

 更に菜月の攻撃は続く。


「何なら明日の昼、あんパン2個でも……」


 何かだんだん自分が我を張っているような気分になってきた。

 そう思ったら負けだと和己はわかっている。

 わかっているのだが……


 和己は深い深いため息をついた。

 そして菜月はにやりとしている。

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