第19話 幼馴染みと腐れ縁と不明少女(2)

「じゃあ謎解きといこう。その前に」


 相変わらず笑みを浮かべたままの和己が菜月の方を見る。


「菜月は今の問題、わかったか?」

「中に入って調べなきゃわからないんじゃないの?」


 和己の笑みが誰でもわかる状態になった。


「そうするとおそらく入口が閉じて中から出られなくなる。中の色々な展示物を調べてもおそらく何も起こらない。違うか」


 和己に目線を向けられた少女が応える。


「そうよ。一応考えられるところ全て叩いたり動かしたりしたけれど何も起こらない。結局時間切れでオーバー、再挑戦って感じ」

「つまりはな、まあついてこい」


 菜月は正直ちょっと気に入らない状況なのだが、見る限り和己は絶好調の様子だ。

 先程まで暑くてへばっていたのが嘘のように。


「あれ、こっちに行くと出ちゃうよ」


 和己の足は先程入ってきた入口に向かっている。


「いいんだ、まあついてこい」


 納得いかないまま菜月は、そして少女もついてくる。

 そのまま3人は資料館の外に出る。

 最後の少女が入口から出た瞬間だった。

 前にさ先程少女が扮していたのと全く同じ案内嬢が現れる。


「おめでとうございます。イベントクリアです」

「な、言ったろう」


 和己がそう言って説明を始める。


「さっきの説明では『この中』って言ったよな。つまりあの入口の部分ももう脱出すべき範囲内な訳だ。だからあそこからそのまま外へ出れば脱出完了って訳さ」

「その通りです。なお先ほどおっしゃっていた通り、入口から資料室へ入ると脱出は不可能になります。資料室を壊す程の魔法を持っていれば別ですけれども」


 本物の方の案内嬢が説明を補足する。


「それで具体的な報酬はレベルアップだけか?」

「そうです。イベントの場所等はまたご自身で探していただく形になります。まあ何日も活動しているにもかかわらず場所を見つけられない方にはヒントをお送りする事もございますが、まだ貴方方にはその必要も無いでしょう」

「そうだといいけどな」

「では、失礼します」


 案内嬢は消える。


「さて、今日はこんなものか。現実に戻るか」

「ちょっと待って」

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