第18話 幼馴染みと腐れ縁と不明少女(1)

 和己は菜月だけがわかる例の笑みを浮かべる。


「確認する。条件はこの中から外に出る事。報酬はランク上昇。

 それでいいな」

「はい、その通りです」

「らぱぽうなふべかすぎしおもすこ」

「えっ」


 急に和己が変な事を言ったので菜月はぎょっとして和己を見る。


「いや、何でも無い」


 和己は相変わらず例の笑みを浮かべている。


「何なの、今の?」

「念の為にとはいえやってみるもんだな」


 そう言って和己は案内嬢の方を見る。


「まさかこんな馬鹿馬鹿しい確認方法でばれると思わなかったろう。

 名前を聞いていいか、プレイヤーさん」


 えっ、と思いながら菜月は和己と案内嬢を交互に見る。

 ただ例によって左足を少し引いて、いつでも戦闘態勢に入れるようにしているのはもう習慣だろうか。


 案内嬢はそんな2人を見て、急に笑い出した。

 みるみるうちに姿が変わっていく。

 機械的な美人から小柄で活発そうな少女へと。

 近くの県立女子校のブラウスを着て、ポニーテールを垂らしている。


「さすがは桜ヶ丘、優秀ね。どこでわかった?」

「わからなかった。念の為に意味がない言葉を言って反応を見ただけだ」

「たち悪ーい!優秀取り消して性格悪いに変更!」


 菜月は今ひとつ話について行けない。


「どういう事?」


 わざとらしくため息をつく和己が菜月には憎たらしい。


「おそらくこのイベントの謎が解けなくて、ここで案内嬢に扮してイベント参加者を待っていたんだろう。イベントの案内と称して同行して、あわよくば一緒にクリアしてしまおうという訳だ」


 ようやく菜月は納得する。


「正解!だけど謎の方はとけるかな?今日1人目はまだ中でさまよっているけれど」

「ああ、もう解けたと思う。その前に確認事項をひとつやっておこう」


 和己は自分のタブレットを何か操作する。


「ヘルプに質問だ。今俺達がこいつから聞いたイベントの説明は正しいか?」

「正しいです」

「あと、こいつをつれて一緒にクリアする事に問題はあるか」

「問題はありません」

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