第17話 プレイヤーと案内嬢?

 2人は目を見合わせる。

 幸い付近には他に人はいない。


「涼んでからでいいか」

「駄目に決まっているでしょ」


 珍しく立場が逆になっている。


「しょうが無い」


 和己はタブレットを見る。


「初心者向け、探索・謎解き系、戦闘は基本的に無しか」

「途中リタイア可能、リタイアした場合は再挑戦可能だからちょうどいいわね」


 大雑把な内容の説明が表示されている。

 見る限りは危険性は無さそうだ。


「行くよ」


 そう言うなり姿を消した菜月に続き、和己も姿を消した。


 ◇◇◇


 一見先程と変わらない資料館入口。

 ただ、見ると奥に人影が見える。

 資料室への入口前、現実には無人のままになっている受付席の前に案内嬢がいる。


「行く?」

「問題ないだろう」


 和己は周りを観察しながらゆっくり中へと入る。

 菜月も後に続く。


「いらっしゃいませ。イベントは初めてですか」


 美人だけれど個性の無い案内嬢がやや機械的な感じで声をかけてくる。

 まるでRPGの村人みたいだな、と菜月は思う。


「ああ、初めてだ」

「それではイベントについてご案内します」


 案内嬢がそう言って一礼して話し始める。


「ここはレベル1のプレイヤー用のイベントになります。

 種類は謎解き系。なおイベントの種類は探索系の他にも戦闘系、探索系等様々な種類がございますので、後程ご確認下さい。


 ここはレベル1の初心者用イベント。目的はゲームのシステムに慣れる事です。チュートリアルの一種と思って頂いても宜しいでしょう。


 イベントではそれぞれの目的に沿ってクリア条件がございます。

 ここのクリア条件は『脱出』です。

 ここ資料館の外へ出る事がクリア条件です。


 クリアの報酬はレベル1からレベル2へのランク上昇になります。

 これにより、新たなイベントへの参加権利が得られる事になります。

 以上ですが何か質問はございますでしょうか?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る