第2章 レベル1
第16話 活動派とインドア派
15時10分過ぎ。
菜月と和己は学校からバスに乗らずに駅に向かっている。
ゲームは2人のタブレットでそれぞれ起動済みだ。
「こうやって実際に移動しないとイベントが発生しないっているのは面倒だな」
「和己も少しは体力がつくかもよ」
菜月はそんな和己をからかいながら歩いている。
もう数日で夏休み。
日差しがとんでもなく暑い。
アスファルトの上を通る風も身体に優しくない。
「これならバスで直接公園まで行った方が良かったな」
学校を出て5分、既に和己のやる気は大分落ちているようだ。
「まだそんなに歩いてないわよ。それに途中にも何かあるかもしれないじゃない」
2人の基礎体力は男女の差を逆転して余りある。
なお2人に目的地が無いわけでは無い。
昨晩和己がネットで調べた結果、この先の城跡がある公園に何らかのヒントなりイベントがある可能性が高い事がわかったのだ。
2人の通う中等教育学校に制服は無い。
低学年だと制服もどきを作って着てくる者もいるが、高校に相当する4年生以降だとそれも少なくなる。
ただ一応『襟のある服を着てこい』とか『男子の半ズボンはやめてくれ』等は不文律になっている。
結果的に男子はポロシャツとスラックス、女子もポロシャツとスカートというのが標準的な格好になっている。
和己も菜月もポロシャツ姿だ。
そして和己の紺のポロシャツは汗で色が変わっている部分が大分多い。
「涼しそうな体型なのにね、何でそんなに暑がりなんだろう」
「僕はデリケートなんだ」
そう言って和己はペットボトルの水をラッパ飲みする。
なお中身は学校で入れてきた水道水だ。
結果的に城址公園までの15分、タブレットの反応は1度も無かった。
そして和己は情けなくもボロボロになっている。
「取り敢えず資料館で休もう。あそこなら冷房が入っている」
「相変わらず軟弱ね」
反論は無い。
本当にへばっているようだ。
トボトボという感じの和己とまだまだ元気な菜月は市立歴史資料館に入る。
自動ドアを通ると涼しいエアカーテン。
「生き返る……」
和己がつい本音を吐いたのとほぼ同時に、2人のタブレットが振動した。
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