波乱の幕開け、新たな居場所

月曜日、鋼、煉、鎧の三人は休日に起こった出来事が今も心に残ってモヤモヤしていた。

(あれは…夢だったのかな?)

自分たちはゴージャスな花の金曜日を過ごした後、間違いなく漫画や映画の世界に出てくるような未来都市に行った。東京のスカイツリーのような巨大なガラス張りの機械仕掛けの高層ビル群を目にした。

あれは、なんだったのか?

しかし、不思議と恐怖や畏敬の念ではなく、憧れが強かった。

(もう一度見たい)

煉が考えていた時、上から何かが落ちてきた。

「こら、授業中にボーとしないの!!」

「美華先生、ごめんなさい」

「もう、放課後居残りよ!!!」

美華が授業に身が入っていない煉を叱った。

同じように、鎧、鋼もそれぞれの推しの美女たちに叱られた。

だけど、

(私たちが見たあの町はなんだったのかしら?)

(あの子達の気持ちもわかるわ。あんな、不思議な体験をしたのだから…当然よね)

彼女たちもあの未来の都市の事が気になっていた。

放課後、

「先生、さよなら」

「失礼します」

女子生徒たちが、杏子たちに挨拶して下校する。

「はい、みんな、気を付けて帰るのよ」

女帝三姉妹が返事をすると、美術室で鋼たちが待っていた。

そして、彼女たちと何かをカバンやランドセルから出して見せあった。

「これが、百合恵先生が見たケーキ屋さんやレストランのイラスト」

「ガラスが普通ではない。青くサファイアのような」

「植物園の奥にエメラルドグリーンか翡翠ひすい色に輝く大聖堂があったんだ」

「私と鋼くんが見たビルもこの形だったわよね」

「はい」

六人が出したのは、有名なイラストや小説、漫画の投稿サイトのイラスト集だ。ここ最近はそのクオリティーの高さから学校の美術でも参考になることがある。

鋼と杏子は、あの日の未来都市を見覚えのある景色だと気付いていたが、本当に世界中でたくさんの利用者がいるアートサイトに描かれたイラストだったなんて、こんな不思議なことがあるなんてと首を傾げたくなる。

「問題は、なぜ、私たちはあの世界に辿り着いたのか?」

「イラストが具現化されたのかな?」

「けれど、花たちの匂いは本物だったよ。あのバラもサザンカにひまわり、カトレアも全部季節を彩る花だったよ」

煉は自身が感じたのは大自然に生きている花たちだと直感した。

だが、問題はなぜ、あの世界に入れたのか?

「車やバイクを運転中に突然だったよね」

「先生たちも僕らも普通に幹線道路を走っていただけだもんね」

「そして、時計台の時刻表示で驚いたのは、五百年後の世界だったこと…」

「いったい?私たちは、なぜ、未来の世界にタイムスリップしたのか?」

美華が、黒板に線を引いた。

「まずは、私たちがホテルにいた時間を計算しても、




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

未来の名は 古海 拓人 @koumitakuto1124

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ