第5話 叫喚

+レイア・ヴィジョン+



 痛みが、捩れる。

 喉が枯れる。

 熱い。

 痛い。

 寒い。

 空になった眼窩から血と涙がこぼれ出し、恐れが寒気となって全身を舐め回す。

 痛い。

 苦しい。

 死んでしまいそう。

 レイアの名前を呼ぶ、みんなの声。お兄ちゃんの声。

 遠い。

 ずっと、遠い。

 いたすぎて、はきそう。

 おにいちゃん……どこ……?

 たすけてよ……ねぇ……。

 カリッと、嫌な感触。

 コー……コー……と、悍ましい呼吸の音。

 何かが首を掴む。

 昔、「施設」にいた頃に彼女をいじめていた、偽物のお兄ちゃんの手がフラッシュバック。

 息が止まる。

 天を仰ぐ。

 虫のような不気味なマスクを被った、恐ろしい悪魔。この世界のまるで馴染まないような、ただ黒としか形容しえない悪意の塊。

 赤い血。

 黒い血。

 コー……コー……。

 黒いナイフ。

 ノコギリ。

 悪意。

 ひっ……ひい

 いやぁ……。

 だれか、たすけて……

 おにいちゃ……ん


















「まず……一人」

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