第5話 叫喚
+レイア・ヴィジョン+
痛みが、捩れる。
喉が枯れる。
熱い。
痛い。
寒い。
空になった眼窩から血と涙がこぼれ出し、恐れが寒気となって全身を舐め回す。
痛い。
苦しい。
死んでしまいそう。
レイアの名前を呼ぶ、みんなの声。お兄ちゃんの声。
遠い。
ずっと、遠い。
いたすぎて、はきそう。
おにいちゃん……どこ……?
たすけてよ……ねぇ……。
カリッと、嫌な感触。
コー……コー……と、悍ましい呼吸の音。
何かが首を掴む。
昔、「施設」にいた頃に彼女をいじめていた、偽物のお兄ちゃんの手がフラッシュバック。
息が止まる。
天を仰ぐ。
虫のような不気味なマスクを被った、恐ろしい悪魔。この世界のまるで馴染まないような、ただ黒としか形容しえない悪意の塊。
赤い血。
黒い血。
コー……コー……。
黒いナイフ。
ノコギリ。
悪意。
ひっ……ひい
いやぁ……。
だれか、たすけて……
おにいちゃ……ん
「まず……一人」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます