エイト
足枷
名も無き壁の街
「うおっ!うわ、マジかよ~」
俺はそう言って笑いながら、俺のズボンにお茶をこぼした友人の方を見る。
しかし、そこに友人の姿はなかった。
混乱を生じる。
とりあえず部屋の中を見回す。
自分の部屋ではないということはわかった。
とてつもない不安に駆られる。
再び、部屋の中を確認する。
目の前にはローテーブル。さらにその先に目をやると、冷蔵庫とキッチン、そして玄関がある。後ろに目をやるとベットと窓がある。ワンルームのようだ。
そして、次にあることに気づく。
濡れたはずズボンが濡れていないのだ。
恐怖値はますます高まる。
すると、どこからともなく声が聞こえる。
「ようこそ名も無き壁の街へ。」
声主は淡々と続ける。
「8人の参加者の皆様にこの街について説明させて致します。」
「この街は直径1kmの円形で高さ30mの壁に囲まれております。」
「この街に出口は御座いません。」
「この街から出るには3つの方法が御座います。」
「1つ目は、私が提示致します条件をクリアして頂くこと。」
「2つ目は、誰か1人リタイアされること。ちなみに、リタイアされた方は現実世界で自分から何かが失われます。」
「3つ目は、1人死亡者が出ること。」
「次に、身の回りのことに関して説明致します。」
「皆様にそれぞれワンルームの部屋を御用意いたしました。生活に必要な最低限のものは備わっております。」
「その他に必要なものが御座いましたら街の中心に唯一のショッピングセンターが御座いますので、ご利用ください。」
「交通手段は徒歩以外御座いません。」
「参加者の皆様同士で連絡を取り合うためだけのスマートフォンとこの街の地図を御用意いたしました。地図には皆様にのお部屋の場所も記載しております。」
その言葉の後、ローテーブルにスマホと地図が現れた。
「説明は以上となります。」
「では、今回の条件を提示致します。」
「条件は」
「誰かが命を落とすことです。」
「ちゃんと命を落として頂きますよう、よろしくお願い致します。」
こうして、不可解な日常が始まった。
エイト 足枷 @asikase
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