不測の暴走
◆
外で
敵の
けれど、あっけなく
片腕の力で
別のゴーレムのコブシが続けざまに飛んできたが、それを
ウォルターが
とはいえ、自動防御はウォルターの体をむしばんだ。黒煙を発動した際の痛みが、ひっきりなしにおそい続けた。
黒煙のカラにつつまれ、いっときのやすらぎが得られた。けれど、痛みは消えず、
すっかり嫌になっていた。何もかも吹き飛んでしまえと
◆
助ける
そんな時、
衝撃波の
「何だ、あれは……」
◆
その中心にいたウォルターは、吹き
ピッポンと、聞きおぼえのあるチャイム音が鳴る。ウォルターは顔を上げた。
『注意:
この
『
この表示の
『エラー:
ブオンという不安をさそうブザー音。先の二つはともかく、これが自身に向けたメッセージと思えず、
『
例によって、カウントダウンが始まる。ウォルターは
『
誰が同意を求められ、誰が拒否したのかもはっきりしない。ウォルターはますます
『注意:規定用量をオーバーしています。
累積時間:16分15秒
この警告を二度と表示しない。はい/いいえ』
累積時間のさらなる増加に気づいたが、この後、同じ表示がくり返されたので、ウォルターは
感情をおしつぶすような
この黒煙は自分が支配しているのか。もしかしたら、自分が支配されているのではないか。ウォルターにはそんな考えが
◆
竜巻の膨張は止まった。けれど、勢いはとどまることを知らない。周辺にはゴーレムの
「彼がやったのか……?」
「たとえそうだとしても、あれは本当に味方なのだろうか……」
おぞましい
スプーも街を囲む壁の上にのぼり、その光景をながめていた。追っ手から
「どういうことだ。トリックスターは〈
スプーの
「そうか、『あの
マリシャスもダイアンと
マリシャスが手元に残したのは、ウォルターに使用した
一つは、能力を与える
もう一つは、対象と
また、
「
三つ命令を与えられたはずのウォルターに、あやつられている様子はない。主君の
◆
ダイアンは竜巻の話を耳にし、集団を引き連れて
「あれです!」
ダイアンは橋を
「例の彼が、
竜巻のかなでるコウモリの鳴き声のような音が、けたたましくひびいているため、
ダイアンは強烈な
「
竜巻の
「ケイトはまだなの!」
「まだ来ていません!」
早くウォルターを助けなければ。ダイアンははやる気持ちをおさえられず、ソワソワと竜巻と
ほどなく、「来ました!」と声が上がる。クレアと共に現れたケイトを、「こっちへ来て!」と手まねきしながら、すみやかに呼び寄せる。
「〈
現在の
「こ、これのことですか?」
ケイトが
「何がどうなってるんですか! この力も何なのかわからなくて!」
「説明は後よ!」
橋を渡りきると、ダイアンは
「竜巻の中心にウォルターがいるの! そこに向かってその力を使ってほしいの!」
「ウォルターが……?」
竜巻が起こす強風によって、ダイアンのドレスが
竜巻の中心に向かうにつれ、黒煙の
「でも、ウォルターがいるんですよね!」
「大丈夫! 私を信じて! その力は人を
ケイトは心を決めて、攻撃準備に入った。ダイアンは
やわらかな
うなずきを返したケイトが、ねらいを
「ウォルター!」
呼びかけても返答はない。ダイアンがウォルターの前でヒザをついた。
心配そうに両肩へ手をかけ、「大丈夫?」と声をかけた。しかし、体をゆすっても反応がない。
ウォルターが
「ダメよ。その力はもう使っちゃダメよ」
ウォルターの体を強く抱きしめたダイアンは、
真夜中のトリックスター(後編) mysh @mysh
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