境界の扉

作者 衣谷創

20

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★★★ Excellent!!!

ファンタジー要素が若干あるが、現代を舞台としたホラー。

淡々とした地の文、「黒い影(詳しくは本編)」の描写……ただただ怖いとしか言えないのは私の語彙力のせいでしょう。特に「3-7 旧制流田中等学校校舎」からが本当に怖い。ここから先は怖がりつつもページをめくる手が止まらない。

消えた石田君を巡る物語。話が進むにつれて謎が解けていく、怖さが増していく。謎解きやホラーが好きな方にはぜひ読んでいただきたい。特に第三部!第三部からの盛り上がりがすごいのです!!
詳しくは本編で!!!

★★★ Excellent!!!

この手のジャンルの作品のレビューを書いたことが無くて、さて、どうアプローチしたら良いものか悩んでしまった私である。
だって、何を書いてもネタバレになってしまいそうで。

秀逸なのはある時を境に出てくる「黒いもの(敢えてこう書く)」の描写。「劇団イヌカレー」の映像作品を髣髴とさせられるようなそんな描写が、明瞭な殺意がぬっと手を伸ばしてくるようなそんな描写が、簡単に言うと、超怖い。

切り口やアイテムの使い方が私の中では斬新だった。
ああ、それをそう使うのか―。的な。
すまない、ネタバレ回避のためにこれしか言えない。

私は「ホラー作品には饐えたスメルが必要である主義者」なのだが、本作は十分臭った。たいへん臭かった。

ホラーが苦手という人には、とてもおススメできないのでその点注意である。

★★★ Excellent!!!

 昨今、異世界ファンタジーに現実のリアリティを織り込み、そのおかしみを強調した作品が流行しているように思う。
 「境界の扉」は同じ流れを汲みながら、別の視点からアプローチした作品だと感じた。

 一言で表すなら、異世界転移ファンタジーを現世側から見た雰囲気だ。
 そういう作品は正直、少なくない。
 しかし、転移した者が現世にコンタクトを取れるシチュエーションでの、現世側を主眼に置いた話は珍しいように思う。

 現実世界は一人の人間が消えたことで大騒ぎだというのに、異世界から送られてくるのは熱に浮かされた言葉ばかりだ。
 生きているらしいが、どこにいるのかもわからない。メッセージの内容は現実離れしたものばかりで、同じ言葉を話しているのに温度と感情が噛み合わない。
 そのとき、現実に残された人が感じるのは狂気と、得体の知れないものに対する恐怖に違いない。淡々とした語り口の文章が、殊更に煽るよりも効果的にホラー感を演出している。

 あらすじを見る限り、更に波乱があるようで、続きが楽しみだ。