第2話
目が覚める。
石造りの天井が見える。首を振って辺りを見回してみる。まったく知らない場所だ。
後頭部が少し痛いが、どうやらあの美少女が運んでくれたのだろうか。
「まっ、待てよ!ということは、このベッドはあの美少女のベッドなのか!」
俺はくんかくんかしようと身体を動かそうとする。
しかし身体が動かない。
首を下に向けるとベッドに縛られている。胸、腹、太もも、足首とご丁寧にだ。
身体の上にはシーツが掛けられていて見えないが感覚的にわかる。
しかも!俺いま素っ裸だ!生まれたままの姿で縛られている!あの美少女なかなか可愛い顔してディープな性癖持っているじゃないか。
(さすが俺の見込んだだけのことはある。こういったプレイが好みだって?大好─────)
《ガチャッ》
そんなことを思っていると先程の美少女が入ってくる。
「目、覚めたんだ。運んだ運賃1000ゴールド。魔物退治含めて2000ゴールド」
「運賃って気絶させたのあなたっすよ」
「草原に転がしてきてもよかった」
うっ。そう言われるとなにも言えない。
「あっ、あなたの服はお金の代わりに売った。250ゴールドで売れたからあと1750ゴールド」
「えっ?」
「えっ?」
疑問に疑問で返された。小首を傾げて可愛く返されても困る。
(いや待てよ。こんな美少女の前でこの開放感溢れる格好。ある意味ご褒美!無機質な喋り方嫌いじゃない!むしろ良い!)
「?」
小首を傾げている美少女を見てムクっとなにかが立ち上がる。
「なにか隠し持ってる。全部没収したはずなのに油断も隙もない」
そういって俺の下半身に手を伸ばそうとする。
「タイム!それは聖剣エクスカリバー!封印された武器なのだ」
「そんな武器を隠し持ってなにをするつもりだった」
ムッとした顔でこちらを見てくる。
そして俺のエクスカリバーを握り込み、引き抜こうとする。
「あっ」
俺は光悦な声をあげる。
すると─────
エクスカリバーを握り込みながら、みるみると顔が紅潮していく美少女。
(狙ったわけじゃない。そう狙ったわけじゃないんだ。俺が悪いわけじゃないよな?)
キッと殺意のある目で睨まれると顔目掛けてかかと落としが下される。
(あっ、パンッ────)
ふと一瞬見えた天国と共に俺は再度眠りについたのだった。
目が覚めるとベッドに縛られている。
今度はなにやら服の感覚がある。
辺りを見回してみると美少女が顔を赤くしている。
「服の代金500ゴールド」
この美少女が俺のために服を拵えて、なおかつ俺に着させてくれたらしい。
なんで!なんで!その時に目覚めなかった俺!!
(待てよ。ということは俺の聖剣はこの子に見られちゃったわけか)
ふと美少女の目をジッと見るとさらに赤くなり下を向く。
「ふっふっふ。我の聖剣はどうであっ─────」
グフッ
みぞおちに高威力の肘落としを食らう。
少し於いたが過ぎたようだ。
「2250ゴールド払うまで逃げることは許さない」
「そうはいっても不可抗力の借金もあるんですけど」
キッと睨まれる。
「魔物でも退治して稼いできて」
「退治なんてしたことないですけど」
ため息を吐かれた。
失礼な。健全な16の高校生が魔物退治なんてやったことあるわけないじゃないか。
すると突然なにかを思い出したかのようにガバッと顔をあげて声を掛けてくる。
「もしかして違う世界から来た?」
劣化コピーってマジですか!? 焼き肉 @loyal
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