第8話 少年の日の思い出

 これは、とある男子高校生の思い出話である。



 まだ小学生だったころの、夏休みの、とある暑い日のことだった。


 僕はカブトムシや、クワガタムシを捕まえることに夢中だった。友達が捕まえたカブトと自分が捕まえたカブトを戦わせたりして遊んでいた。


 いつものように友達数人とカブトやクワガタを持ち寄って遊んでいたときのことだった。

友達の一人が、自慢げに言った。

「おまえらしってる?カマキリって、寄生虫がいるやつがほとんどで、水に漬けるとそれがお尻から出てくるんだって!!!」


みんなが口々に、言い出した。

「それ、めっちゃ気持ち悪いよ。」

「試してみたくない⁈」

「やろうぜ!」

「やろう!」


というわけで、カマキリを捕まえる遊びに変わった。



 幸い僕の家は、割とまだ自然がふんだんに残っている地域にあったので、早速みんなで五、六匹捕まえて、バケツに水を張り、その中にカマキリを入れた。


 みんな、二,三分じっと見ていたが、何も起こらないので、じきに飽きてしまい、次はカードゲームをしようということになり、友達の家で数時間過ごした。そのころには、カマキリのことなどほとんど忘れてしまっていたのだが、帰る時に、誰かが思い出し、バケツのところに寄ってから帰ることになった。



 バケツの中を覗くと、そこには世にもおぞましい光景が広がっていた。


 ハリガネムシという名前だと今なら知っているが、寄生虫という言葉がぴったりの形態をしている細長い虫が五、六匹、うねうねと絶え間なく水の中でうねっており、傍らに、カマキリが五、六匹、生きているのか死んでいるのか分からなくなって浮かんでいた。



 「カマキリという虫は、メスはオスと交尾中、オスを食べてしまうんだよ。」

誰かが、バケツの中を見ながら言った。


 僕はカマキリに心の中で言った。

「そうか、そうか、つまり君はそういうやつなんだな。」




 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

In the crisis @hiro6

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ